染谷将太、2017年ベストムービーは?北京で語る“これまで”と“これから”
幅広い役を演じ分け、映画によって様々な顔を見せる染谷将太。2001年『STACY』でのスクリーンデビュー以後、ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した出世作『ヒミズ』、前後編合わせて35億円以上の大ヒットとなった主演作『寄生獣』を含め、25歳の現在までに出演した映画は優に50本を超える。
また染谷は10代の頃から名画座に通いつめ、その鑑賞眼から映画雑誌に寄稿するなど映画通として知られるが、今年のベストムービーは何だったのだろうか。
主演作『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』(日本2018年2月24日公開)のワールドプレミアのため中国・北京入りしていた染谷は、12月18日、昼間でも氷点下となる寒さのなか市内の景勝地である景山公園を訪れていた。頂上まで続く階段で上がった息を落ち着かせながら北京の街並みを眺める彼に尋ねてみた。
「今年ベストですか。うーん…あまり本数を観れていないんですけど『ベイビー・ドライバー』ですね」と、染谷自身ファンだと公言するエドガー・ライト監督が、音楽とカーアクションの融合に挑んだ話題作をチョイス。
他に観た作品を尋ねると『ラ・ラ・ランド』『ダンケルク』などさすが映画通、“あまり観ていない”という言葉が謙遜だと分かるラインナップだ。「マーベルとかDCのアメコミ映画も好きです。やっぱり手堅いですよね」と、幅広いジャンルを楽しんでいる模様。
「映画以外で言うと、Netflixの『ストレンジャー・シングス 未知の世界』とか大好きですね、かなりハマりました。あとHuluで『ウエストワールド』を観て、これもハマっていて(笑)。結構テレビシリーズを観た1年でしたね」。
2017年は1年で5本の出演作が公開され、来年以降も出演作が続々決定するなど、俳優としての評価は高まる一方。続けて多忙を極めた2017年を振り返った。
「気づいたら終わっていたという感じです。『空海』を去年中国で撮って、今年は日本の現場をやりつつ『空海』の吹替を収録したりと、一昨年からずっと『空海』という作品が続いている感じでした」。
この度の訪中は、2017年1月に『空海』を撮り終えて以来だったそうで、前日北京市内のホテルで行われた会見では「現場の熱気がそのまま続いているように感じています。壮大な熱気のまま公開されて、人々に伝わったら嬉しいです」と本作への想いを表現していた。
「来年映画が封切られて、お見送りするというか、空海が僕から旅立つみたいな感覚ですね」と、足かけ3年間にわたり自身と共に歩んできたキャラクターへの感情を吐露する。
中国では5万スクリーンもの規模で公開が始まった『空海』だが、その他にもオーストラリア、ベトナム、マレーシア、インドなど各国で公開が決定。今後、役者として世界進出していく意思はあるのだろうか。
「今年は『スキップ・トレース』とか『カンフー・ヨガ』もありましたけど、ジャッキー・チェンと共演したいというのが子供のころからの夢だったので、彼とバディものとかできたら最高に幸せですね」と、あくまで軽やかに答えながら、中華圏の大スターとの共演にも意欲的だ。
「とりあえず、日本に帰ったら『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を観たいです。今後も (『スター・ウォーズ』の新シリーズを)やるらしいじゃないですか。楽しみですね」と笑った。紫禁城を見下ろす寒空のもと、映画への熱い気持ちを語ってくれた染谷。彼の更なる飛躍がますます楽しみになるインタビューだった。
取材・文/編集部