木村拓哉が語る、『マスカレード・ホテル』撮影秘話。東野圭吾、長澤まさみ、松たか子とのエピソードとは?
長澤が演じる尚美は、新田の捜査に力を貸していく。しかし、犯人を突き止めようと、素性の知れない宿泊客を次々と疑っていく新田と、客を第一に考えて行動する山岸とは、何度も衝突してしまう。本作では、この2人の凸凹バディぶりが見ものだ
「尚美はホテルマンとして『お客様のみんなが(素性を隠す)仮面をつけていらっしゃる。それをはがすものではございません』という立ち位置にいます。長澤さん自身、すごく存在感がある表現者で、女性としての魅力も抜群ですが、さらに今回、事前に研修を受けていたせいか、セットに入った瞬間、ホテルマンの尚美になっていました。だから、自分も変身した彼女に反射した形で、ずっと現場にいられたような気がします」。
長澤と初共演した感想については「イメージどおりの美しさ、イメージどおりの本気度で、作品に対する向き合い方がすごく理想的な方でした」と賛辞を惜しまない。
「彼女は自分が果たすべき責任を120%、現場で還せる人。また、一緒にやってみて、脚本の読み方や捉え方が自分と同じだということもわかりました。ちなみに、松たか子さんも同じです。また、長澤さんが松さんのことをとてもリスペクトされているのも感じ、それもすごくいい関係性だと思いました」。
「松さんは、学生だったころから、母親になった彼女まで全部知っているので、不思議な感じです」
松と木村は、連ドラ「ロングバケーション」、「ラブジェネレーション」、「HERO」シリーズなどで何度も組んできた。「今回も『参加してくれてありがとうね』と言いました。撮影が始まったら、彼女も長澤さんと同じように、責任を持って演じられる人なので、なにも言うことはなくて。松さんは、学生だったころから、母親になった彼女まで全部知っているので、不思議な感じです。そういう意味では、同じ時間をたくさん過ごした分だけ、他の方とは違う安心感があります」。
今回は、初の刑事役、初の東野作品、長澤との初共演と、“初もの”が多かったが、なにかに初挑戦することは非常におもしろいという木村。「実は今回、ホテルのなかから出ていないんです。普通の刑事ものでは、どれだけ足を使って捜査をするかが勝負となるけど、今回はすごくクローズな世界の話になっています。そういうシチュエーションの作品をやったのも今回が初めてで、そこも新鮮でした」。
常にチャレンジし続ける俳優・木村拓哉。刑事・新田浩介もまた当たり役になりそうな予感がする。木村、長澤、松のほか、豪華スターが次から次へと登場する『マスカレード・ホテル』。正月明けに、ぜひこのゴージャスな一流ホテルを訪れてみてほしい。
取材・文/山崎 伸子