圧巻の活弁&ちゃんばらパフォーマンスでクライマックス!京都国際映画祭2019が閉幕
本映画祭の目玉企画でもある「牧野省三没後90年 スペシャル企画」では、牧野省三が製作総指揮した映画黎明期の傑作サイレント映画『雄呂血』(25)を活弁つきで上映。現役最高齢81歳の活動弁士、井上陽一が約80分に及ぶ本編に挑み、和洋合奏団と共に渾身の名調子を響かせるさまは圧巻で、劇場は大喝采に包まれた。
続けて行われた中島貞夫監督監修による「没後90年 牧野省三の功績を偲ぶ」では、吉本ちゃんばらパフォーマー&東映剣会が迫力満点の殺陣を披露。中島監督は「牧野省三さんは“1スジ、2ヌケ、3ドウサ”という現代でも映画をつくる上で非常に的確な名言を残し、俳優も多く育てた」と話し、時代劇に限らず、牧野省三が日本映画で果たした功績は計り知れないことを明かした。さらに、“日本映画の父”に改めて敬意を示すと共に、「京都には映画づくりの歴史が脈々と受け継がれてきた。皆さんのお力でもう1度京都を盛り上げてほしい」と呼びかけた。
映画祭を振り返って、総合プロデューサー、奥山和由は「映画の歴史を振り返り、未来を見据え、現代の我々が何を成すべきかを知る映画祭。この京都ならではの映画祭の本質が参加してくださる皆さんに浸透してきた実感があります。その土台のもとに、今後は徐々に先端的自由表現の開発へとウエイトをかけていきたい。そして第10回の時までには、世界のクリエイターが京都国際映画祭にチャンスを求めに訪れる映画祭になることを目標にしたいと思います」とコメント。
また、実行委員長、中村伊知哉は「今回のプログラムは、京都は映画のふるさとだと皆さんにご理解していただけたのではないかと思います。イベント会場は集客も増し、映画祭が皆さんに支持されている証だと感じています。今年も“映画もアートもその他もぜんぶ”という世界に例のないイベントを楽しんでいただけたと思います。もう6年生ですが、ますます今後の広がりを感じました」とコメントを寄せている。
今後もますますの広がりが期待できる「京都国際映画祭」。来年の開催が早くも楽しみである。
取材・文/オチアイユキ