『HUMAN LOST』監督&脚本コンビが赤裸々トーク!冲方丁「木崎さんはポリゴンさんのレベルも一段上げた」
「全編アクションになっていますから(笑)」(冲方)
――実際に仕上がった作品を観た感想は?
冲方「木崎さんは、最終的に(制作スタジオの)ポリゴンさんの制約を全部ぶっ飛ばしたものにしていましたよ。だって、最初の打ち合わせで、なるべくアクション削ってと言われたのに、全編アクションになっていますから(笑)」
木崎「100分中、25分しかアクションはできないって言われていました。『これじゃあやれるわけない!』と思いながらも、最終的には想定以上のアクションの物量になっていったんですけどね」
冲方「木崎さんは間違いなくポリゴンさんのレベルも一段上げたと思っています。キャラクターの芝居もアクションも、そしてキャラの数もね。最初メインは12体しか作れないって言われていたぐらいなのに、東京のラッシュとか全部出しているし。冒頭の(高田)馬場の駅にタカタカと人が入っていくのを観て、『ポリゴンさん大変だっただろうな』って思いました」
木崎「頑張ってくれましたね。なんとか実現しようといろいろ苦心してやりながら、裏技も使ったりもして。なんとかこの作品を成立させたい気持ちが強かったです。とにかく形にしたい、それだけでした」
冲方「ブレイクスルーしましたよね。マスクをつければ、同じ素体でいっぱいキャラが出せるとか。そういった工夫からは、『なんとかしよう』という熱意が伝わってきました。木崎さんのように、静かに強い圧をかける人がいない限り実現しませんから(笑)」
――では最後に、本作の見どころをお願いします!
木崎「観にきてくださる方の想像とは違うことがどんどん展開されていく作品だと思います。太宰先生の『人間失格』が持っているメッセージ性なども込めたつもりなので、楽しく観ていただければうれしいです」
冲方「最初の10分を観ればわかります。あとは引き込まれるだけです。僕自身もそうでしたから。『人間はどうあるべきか』という作品の問いかけをどう感じたか、感想を教えてほしいですね」
※木崎文智の「崎」は「たつさき」が正式表記
取材・文/タナカシノブ