批評家が選ぶ、スティーヴン・キング映画ランキング!ホラーから感動作まで“フレッシュ”な10選
トップに輝いたのは92%フレッシュを獲得したブライアン・デ・パルマ監督の『キャリー』。キング作品で最初に映画化された記念碑的作品とあっていまだに人気が高く、20年以上の時を経て続編が製作されたり、2013年にはクロエ・グレース・モレッツ主演でリメイクも作られるほど。ホラー映画というジャンル自体はあまり批評家から評価されない傾向があるが、本作はやはり別格なのだろう。シシー・スペイセクの雰囲気をはじめ、作品全体に終始流れる不穏な空気感は、最後まで気が抜けないものがある。
また、青春映画の金字塔『スタンド・バイ・ミー』や、世界中の雑誌などで定期的に発表されるオールタイム映画ランキングで常に上位に入る『ショーシャンクの空に』、トム・ハンクスが主演を務め不思議な能力を持つ死刑囚との交流を描いた『グリーン・マイル』の3作品と、非ホラー・非サスペンス作品の活躍が際立つ。とくに『ショーシャンクの空に』は批評家からの評価では90%フレッシュと比較的落ち着いた印象だが、一般ユーザーからの評価では98%と稀に見る好スコアを出しているのは「ロッテン・トマト」らしい現象のひとつだ。
前述した通り、キング作品ブームを再燃させた『IT/イット』は、興行的成功のみならず批評面でも成功していると言えるだろう。過去にテレビ映画として実写化されたことがあるので、厳密に言えばリメイク作品となるわけだが、それを感じさせないオリジナリティにあふれたジュブナイル・ホラーの傑作。もちろん続編の『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』(19)とあわせてペニーワイズの恐怖に触れることをおすすめしたい。
そしてもちろんスタンリー・キューブリック監督が手掛けたホラー映画屈指の名作と名高い『シャイニング』も85%フレッシュの高評価。約40年の時を経て作られた正統続編である『ドクター・スリープ』と続けて鑑賞すると、舞台となるホテルの造形やストーリーのリンクなどがより一層楽しめること間違いなし。キング作品の魅力は単なる恐怖にとどまらず、その奥に豊かな人間ドラマが潜んでいること。ホラーが苦手な方も、是非一度挑戦してみてはいかがだろうか。
文/久保田 和馬