『ハリー・ポッターと秘密の部屋』が遺作に…名優リチャード・ハリス演じるダンブルドアが心に残る
大ヒットファンタジーシリーズの2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(02)が、今夜の「金曜ロードSHOW!」にて放送中だ。前作に続いて、ホグワーツ魔法魔術学校の校長であり、主人公のハリー(ダニエル・ラドクリフ)を導く魔法使い、アルバス・ダンブルドアを演じるのは名優リチャード・ハリス。しかし、公開前に死去したことが告げられ、本作は彼の遺作となった。最後の名演に思いを馳せつつ、その生涯を振り返ってみたい。
ラグビー選手から俳優へ転身!アクション映画で大活躍
1930年、アイルランドで9人兄弟の5人目として生まれたハリス。運動神経が抜群で、若いころはラグビーで才能を発揮し、一時はプロチームへの参加を許されるほどだった。しかし、結核を患ったことでプロ選手の道を断念。新たな目標として映像業界を志してイングランドへ移住するが、映像制作を学べる学校がなく、またもや断念。悩んだ末、少しでも映像にかかわりたいと思い、演劇学校の入学試験を受けたのが彼の俳優人生のスタートだった。何度も試験に落ち、ようやく入校できた演劇学校で学びながら炭鉱で働き、稼いだ金で舞台上演を行うなど熱心に活動。課程を修了したあとは劇団に所属して舞台に立ち、長い下積み生活を送っている。
1959年に『地獄で握手しろ』で映画デビューを果たすと、『ナバロンの要塞』(61)や『戦艦バウンティ』(62)に出演。初主演作となった『孤独の報酬』(61)では第16回カンヌ国際映画祭の男優賞を受賞し、俳優として大きな飛躍をとげることに。ハリスの役どころは、なんと未亡人に一途な想いを寄せるラグビー選手!しかも、炭鉱で働いていたという設定もあり、かなりリンクする部分があったようだ。
ハリウッドにも進出したハリスは、『ダンディー少佐』(64)でチャールトン・ヘストン、『テレマークの要塞』(65)でカーク・ダグラスといった大スターと共演。憧れの存在であるダグラスからの推薦で、アーサー王伝説を題材にした大作ミュージカル『キャメロット』(67)でアーサー王を演じるチャンスも獲得した。以後は、精悍でたくましく、どこか知的さもある風格を武器に、『ジャガーノート』(74)や『カサンドラ・クロス』(76)、『ワイルド・ギース』(78)などアクション映画を中心に活躍する。
名バイプレーヤーとして確かな存在感を確立
1980年代に入ると、アルコールや薬物依存症で低迷するが、それを見事克服し、舞台を中心に活動。81年にはナイトの称号も授けられている。映画では、『ザ・フィールド』(90)に主演し、土地に執着するあまり人を殺害してしまう初老の男の悲劇を体現し、米アカデミー賞主演男優賞にノミネート。90年代に入ると、テロリストのスポークスマンを憎たらしく演じた『パトリオット・ゲーム』(92)、凄腕のガンマンなのにジーン・ハックマン演じる保安官にボコボコにされる姿が痛々しい『許されざる者』(92)、ホアキン・フェニックス扮する息子に序盤で窒息死させられるローマ皇帝役の『グラディエーター』(00)など、わずかな出演シーンながら強烈な印象を残し、名バイプレーヤーの地位を確立した。
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