難役に挑むため、30センチ以上の断髪を決断…女優・北川景子の足跡を振り返る
第159回直木賞を受賞した島本理生の同名ベストセラー小説を、『十二人の死にたい子どもたち』(19)や『望み』(20)などで知られる堤幸彦監督が映画化した『ファーストラヴ』(公開中)。主人公の真壁由紀役を演じた北川景子は、トラウマを抱えながら衝撃的な事件の真相を追う公認心理師を熱演。本項では、難役に挑み女優としての新境地を切り拓いた北川のこれまでの足跡を振り返りながら、本作の見どころに迫っていきたい。
本作は、アナウンサー志望の女子大生が父親を刺殺することから幕を開けるサスペンス・ミステリー。「動機はそちらで見つけてください」という挑発的な言葉で世間を騒がせる容疑者の聖山環菜(芳根京子)を取材することになった由紀は、夫の我聞(窪塚洋介)の弟で、弁護士の庵野迦葉(中村倫也)と共に、環菜が罪を犯した本当の動機を探るために面会を重ねていく。しかし二転三転する供述に翻弄されていくうちに、環菜に過去の自分に似たなにかを感じ始める由紀。そして彼女は、環菜の過去に触れたことをきっかけに、隠していた記憶と向き合うことに。
憧れのモデルから、演技派女優へ…北川の足跡を辿る
オリコン株式会社が毎年発表している「女性が選ぶ“なりたい顔”ランキング」では、2009年に2位にランクインして以降、6度の首位を含み12年連続で2位以内にランクインするなど、端正な顔立ちとクールな雰囲気で同性を中心に圧倒的な支持を集めている北川。
2003年にモデルとしてデビューし、同年にはテレビドラマ「美少女戦士セーラームーン」の火野レイ/セーラーマーズ役で女優としてもデビュー。2006年に森田芳光監督の『間宮兄弟』で映画初出演したのを皮切りに、同年にはハリウッド映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』や、初主演映画『チェリーパイ』が公開され、一躍人気女優の仲間入りを果たす。
その後も『パラダイス・キス』(11)、「謎解きはディナーのあとで」(11)、「HERO」(14)など、映画やテレビドラマ問わず多くの話題作に出演してその演技力に磨きをかけていき、ヒロインの岬マリ役を演じた『探偵はBARにいる3』(17)では、第41回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞し、演技派としての地位を確立。
それを一つのターニングポイントにし、以後の出演作ではさらに演技の幅を拡げていくことに。平手友梨奈演じる天才高校生作家を支える編集者を演じた『響-HIBIKI-』(18)や、男性不妊をテーマに松重豊と夫婦役を演じた『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』(19)など、それまでのクールなイメージに加えて、より親しみやすい演技もこなすように。
4年ぶりの主演映画となった『スマホを落としただけなのに』(18)では、ネットストーキングの恐怖に襲われるヒロインを演じ、鬼気迫る表情と共に作品のスリルを掻き立てた。また、田中圭や成田凌、千葉雄大らキャスト陣を牽引する座長として宣伝稼働も積極的に行い、公開初日の舞台挨拶では「爪痕を残したいなと思って頑張ってきました」と述べた北川に対し、共演者や監督から温かな拍手が贈られた。最終興行収入は北川の主演作としては最高の19.6億円に達し、続編も製作される人気を博すことに。