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「おかえりモネ」からマーベルまで、世界が認める才能・浅野忠信が『モータルコンバット』で真価を発揮!

コラム

「おかえりモネ」からマーベルまで、世界が認める才能・浅野忠信が『モータルコンバット』で真価を発揮!

これまでの努力とスキル、キャリアが凝縮された『モータルコンバット』

2017年に公開された『新宿スワンII』取材時の、こんな発言も覚えている。「(日本未公開の中国映画)『The Wasted Times』の撮影をしながら次作の準備をし、『沈黙-サイレンス-』の(確かオーディションのために)膨大な英語のシナリオを頭に入れた。自分でもスゴいと思っているよ」。その言葉がいまの浅野忠信を象徴しているが、その努力とスキル、キャリアが凝縮され、そのまま存分に炸裂しているのが今回の『モータルコンバット』だ。


アメリカ、日本、シンガポール、オーストラリアなど世界中から国際色豊かなキャストが集められ、映画の内容そのままにドリームチームで構成された本作だが、最初にも書いたように、浅野が演じたライデンは、それぞれ独自の魅力と必殺技を持つ彼らファイターを束ねるリーダー的な存在。「なので、貫禄を出した方がいいと思って、声を低くした。あと、ライデンにはあの笠をずっとかぶっていて欲しくて。サイモン・マッコイド監督はとるシーンも考えていたみたいですけど、笠はライデンのシンボルですからね」と浅野は振り返る。

そんな浅野について、マッコイド監督も「タディ(浅野のこと)はすごく才能のある俳優」と絶賛。「彼もスコーピオン(伝説の忍者ハンゾウの別の姿)を演じた真田広之さんも、キャラクターに存在感と重みをもたらしてくれました。特にライデンはほかのファイターたちの上の立場にいる長老の神だから、その威厳と存在感を維持し続けなければいけない。しかも、本物のライデンに見えるためには若くもなく年寄りでもない、日本人の俳優に演じてもらうことが重要だったんですが、タディはそれを見事に成し遂げてくれました」。

マッコイド監督の言葉に嘘がないことは、「僕は今回、ライデンがいろいろな世界と交信していたらどうだろう?ということを考えながら演じたんです。そしたら、監督がその雰囲気を見抜いて認めてくれた。あれは嬉しかったですね」と語った浅野のコメントからも明白だ。実際、撮影現場では監督だけでなく、ほかの共演者ともフレンドリーにクリエイティブな仕事が共有できたようで、「世界には色んな俳優や監督がいて、彼らと一緒に役を体現していると僕はすごく自由になれるし、自分のなかの可能性も広がる」と、浅野自身も海外に活動のフィールドを広げたことによる充実感を噛み締める。「その分、負担も増えるけれど、それも自分を成長させてくれる。いまは世界中のみんなで映画を撮れる時代ですから、若い俳優はどんどん外に出ていって欲しいですね」。

その言葉には説得力も重みもあって、『ルパン三世』(14)のタイの現場でペンキ塗り立てのヘリコプターに寄りかかって衣裳のコートをベタベタにしながら誰よりも爆笑していたり、「当然、石川五ェ門(綾野剛)役だと思っていたから、銭形警部でのオファーを聞いたときはビックリした。でも、友だちにその話をしたら『オマエももうオヤジなんだよ!』って指摘されて」と苦笑していたときの浅野とは別人のよう。

だが、次の瞬間には「魔界の皇帝シャン・ツンが去った後に言う、『アイツは喋り過ぎだな』というライデンのセリフは好きですね」と無邪気にニンマリ。「あの少しふざけたような言い方は、それまでの戦いのことだけを真面目に考えていた彼とのギャップがあって、すごくおもしろいなと思いました」と悪戯っ子のように顔をくしゃくしゃにしながら笑ったが、そんな浅野忠信のチャーミングな魅力も、ライデンのキャラクターに深みと温かみをプラスしているのは言うまでもない。

『モータルコンバット』は公開中!
『モータルコンバット』は公開中![c]2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

※記事初出時、表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

文/イソガイマサト


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