ウォーレン夫妻の活躍や呪いの人形、アナベルの起源にも迫る…「死霊館ユニバース」をプレイバック
『アナベル 死霊人形の誕生』(「アナベル」シリーズ)
『死霊館』の冒頭で圧倒的な存在感を発揮して、そのままユニバースのアイコンになった人形、アナベル誕生の物語。(物語の)12年前(1945年)に愛娘アナベルをなくした玩具職人夫婦の家に、修道女のシャーロットと6人の少女が招かれた。ところがそこには悪魔が操る邪悪な人形が待っていた。
悪魔が姿を変えたアナベルや人形が少女たちを襲撃。たたみかけるような展開と、バイオレンスが味わえる衝撃作だ。ラストは『アナベル 死霊館の人形』(14)へとつながっていく。シャーロットが聖カルタ修道院の修道女と親交を持つなど『死霊館のシスター』(18)の関連作でもある。
『アナベル 死霊館の人形』(「アナベル」シリーズ)
公開順では『死霊館』に続く第2作で、アナベルがウォーレン夫妻の手に委ねられる以前の物語。1967年、妊娠中の妻ミアへのプレゼントに、ジョンはアンティーク人形を購入した。ところがその人形に、生まれくる赤ん坊の魂をねらう邪悪な悪魔が宿ってしまう。
派手な見せ場はほとんどないが、ミアがじわじわ追い詰められていく精神的な怖さが持ち味。ミアたちを救うためペレズ神父が手を差しのべる。2014年にジェームズ・ワンは制作会社アトミックモンスタープロダクションズを設立。この作品から、タコの怪物が町を襲うクレジットが付けられた。
『アナベル 死霊博物館』(「アナベル」シリーズ)
ウォーレン夫妻の博物館にアナベルが収められた1年後の物語で、夫妻の一人娘ジュディが主人公。ジュディのベビーシッターの友人が好奇心で博物館に忍び込み、アナベルの封印を解いてしまう。
呪いの博物館の品々が命を宿したように動きだし、アナベルを操る悪魔も姿を現す本作を、ジェームズ・ワンは「アナベル版ナイト・ミュージアム」と呼んでいる。公開前にロレイン・ウォーレンが92歳で死去したため、映画は彼女に捧げられた。
『ラ・ヨローナ~泣く女~』(スピンオフ)
我が子を殺し、自殺した女の霊が子どもを奪う、ラテンアメリカに伝わる伝承を描いたスピンオフ。1973年、謎の死を遂げた子どもの母親から逆恨みされたシングルマザーのソーシャルワーカーのアンナは、子どもを襲う悪霊、ヨローナに2人の子どもをねらわれる。神出鬼没なヨローナの恐怖をパワフルに描くショック描写が満載。アンナにアドバイスを与える聖職者として『アナベル 死霊館の人形』(14)のペレズ神父が登場する。
『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(「死霊館」シリーズ)
ウォーレン夫妻が、裁判で悪魔の憑依を立証するため奔走するユニバース最新作。1981年、ウォーレン夫妻が立ち会った悪魔祓いのさなか、恋人の弟を救おうとした青年アーニーは自身に悪魔を宿してしまう。その後、精神錯乱したアーニーは殺人を犯し、刑務所に収監。彼の無実を証明するため夫妻が立ち上がる。幽霊屋敷を描いてきた「死霊館」シリーズが新たなフィールドに突入。州をまたいで各地を飛び回り、情報を入手するため警察の捜査に力を貸すなど、これまでにないアクティブな活躍が味わえる。
作品ごとに特色があり、様々な斬新なアイデアで観客を震え上がらせる「死霊館ユニバース」。最新作から入ってみるのもアリなので、まだ観たことがない人もぜひ、この“恐怖の世界”に足を踏み入れてみてほしい。
文/神武団四郎