スピルバーグが映画化した意義も見えてくる!「トゥナイト」「マリア」「アメリカ」…『ウエスト・サイド・ストーリー』を彩る名曲を解説
プエルトリコ系のエキゾチックなリズムが印象的な「アメリカ」やジェッツのジャズ感ある「クール」
様々な要素を取り入れた多彩な音楽性も『ウエスト・サイド・ストーリー』の魅力だ。なかでも、プエルトリコ系移民のグループ、“シャークス”が活躍するということもあって、ラテン音楽を大胆に導入。シャークスの取り巻きの女性たちが歌う「アメリカ」のエキゾチックなリズムは、バーンスタインがプエルトリコを旅行した時に聴いた音楽がヒントになった、という説もある。女性たちは歌を通じて豊かなアメリカを賛美し、シャークスの男たちは現実の厳しさを歌う。移民から見たアメリカの光と影を歌ったこの曲は、陽気な曲調のなかに皮肉が込められていて、移民問題を取り上げた本作のテーマに関わる重要な曲だ。
また、ダンス大会のシーンで流れる「ダンス・アット・ザ・ジム:マンボ」「ダンス・アット・ザ・ジム:チャチャ、ミーティング・シーン、ジャンプ」といった曲は、曲名どおりマンボやチャチャなどラテン音楽のリズムを組曲風に取り入れていて、シャークスは見事なダンスを披露。若者たちがラテンのリズムに乗って踊る姿は、昨年公開されて話題を呼んだ『イン・ザ・ハイツ』(21)を思い出させたりも。
一方、ヨーロッパ系移民のグループ“ジェッツ”の若者たちが指を鳴らしてリズムをとる「ジェット・ソング」や「クール」にはジャズのスウィング感が息づいており、躍動感あふれる様々なリズムが若者たちのエネルギーを表現している。
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