『メリー・ポピンズ』『グレイテスト・ショーマン』『ウエスト・サイド・ストーリー』…名作で彩られたミュージカル映画史を振り返る!

コラム

『メリー・ポピンズ』『グレイテスト・ショーマン』『ウエスト・サイド・ストーリー』…名作で彩られたミュージカル映画史を振り返る!

1957年にブロードウェイ・ミュージカルとして誕生し、1961年に映画化、さらに約60年の時を経て、巨匠スティーヴン・スピルバーグが映画化した『ウエスト・サイド・ストーリー』が公開中。第94回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、助演女優賞を含む7部門でノミネートされたことでも話題を呼んでいる。この時代を超えた名作をきっかけに、ミュージカル映画が歩んできた歴史をたどってみよう。

1961年にも『ウエスト・サイド物語』として映画化されたブロードウェイ・ミュージカルを、スピルバーグ監督が映画化(『ウエスト・サイド・ストーリー』)
1961年にも『ウエスト・サイド物語』として映画化されたブロードウェイ・ミュージカルを、スピルバーグ監督が映画化(『ウエスト・サイド・ストーリー』)[c]2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『オズの魔法使』や『サウンド・オブ・ミュージック』が生まれたミュージカル映画の黄金期

そもそも「ミュージカル」とは、登場人物が劇中で歌う作品のこと。一般的なドラマではセリフで語られる心情を歌に変えて表現し、その歌に合わせて踊ったりすることで“非日常”の世界が繰り広げられる。そんなミュージカル映画の歴史を遡れば、映画がサイレントからトーキー(音が出る映画)になった最初の作品『ジャズ・シンガー』(27)はミュージカルだった。つまり映画は、ミュージカルとして音を観客に届けたのである。

この1920年代後半から1950年代までは、ハリウッドではミュージカル映画が大量に製作された。世界恐慌や第二次世界大戦の暗い時代、映画もモノクロからカラーにシフトし、夢を届けるミュージカルは観客に歓迎されたのだ。現在も愛される名作も次々と生まれ、黄金期を築いた。名曲「虹の彼方に」で知られる『オズの魔法使』(39)は少女ドロシーが異世界へトリップする設定で、ミュージカル・ファンタジーの原点となった。また、同作主演のジュディ・ガーランドのほか、フレッド・アステア、ジーン・ケリーといったミュージカル映画専門のスターが誕生。ジーン・ケリーの主演作で筆頭に上がるのは『雨に唄えば』(52)で、主人公の雨の中でのダンスは、映画史に残る名シーンとなった。


ジュディ・ガーランドが主演し、名曲「虹の彼方に」も生まれた『オズの魔法使』
ジュディ・ガーランドが主演し、名曲「虹の彼方に」も生まれた『オズの魔法使』写真:EVERETT/アフロ

映画の人気ジャンルとして定着したミュージカルは、1950年代から多様化、大作化も進んでいく。ブロードウェイで人気を集めた舞台の映画化も相次いだ。その代表格が『ウエスト・サイド物語』(61)。それまでは夢と希望にあふれる世界だったミュージカルに、人種差別、恋人たちの悲劇などシリアスなテーマという大胆なチャレンジを試み、見事に成功。アカデミー賞で11部門ノミネート、10部門受賞という快挙を成し遂げた。ヨーロッパでのロケを大々的に行い、「ドレミの歌」「エーデルワイス」など名曲を生んだ『サウンド・オブ・ミュージック』(65)もアカデミー賞作品賞を受賞。そのほかにも、オードリー・ヘプバーンが花売りから一流の淑女に変貌するヒロインを演じた『マイ・フェア・レディ』(64)など、『恋の手ほどき』(58)や『オリバー!』(68)も含めると、1958~68年の11年間で、アカデミー賞ではミュージカル映画が5回も作品賞を受賞。黄金期を超えて“円熟期”の時代となった。しかしこの時期を頂点として、ミュージカル映画の話題作は減少していく。

ヨーロッパでのロケを大々的に行い、「ドレミの歌」「エーデルワイス」など名曲を生んだ『サウンド・オブ・ミュージック』
ヨーロッパでのロケを大々的に行い、「ドレミの歌」「エーデルワイス」など名曲を生んだ『サウンド・オブ・ミュージック』[c]2022 20th Century Studios. All Rights Reserved. ディズニープラス「スター」で配信中
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