『パワー・オブ・ザ・ドッグ』に『ドント・ルック・アップ』も!Netflixでいますぐ観られるアカデミー賞候補の良作たち

コラム

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』に『ドント・ルック・アップ』も!Netflixでいますぐ観られるアカデミー賞候補の良作たち

『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』(2部門2ノミネート)

実在の人物を演じた役者が有利とされるオスカーだけに、アンドリュー・ガーフィールドの受賞にも期待がかかる(『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』)
実在の人物を演じた役者が有利とされるオスカーだけに、アンドリュー・ガーフィールドの受賞にも期待がかかる(『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』)[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

ミュージカルの名作「レント」を生みだしたジョナサン・ラーソンの自伝ミュージカルを映画化した『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』は、主演男優賞(アンドリュー・ガーフィールド)、編集賞の2部門2ノミネートを果たした。

1990年代、ニューヨークでダイナーのウェイターとして働きながら、一流のミュージカル作曲家を目指すジョナサン。30歳を目前に控える彼は、仲間たちが現実に目を向け始めていくなか、曲を書いては直す日々の繰り返しに焦りを覚え、また恋や友情に頭を悩ませていた。そんななか、限りある人生でなにをすべきか?という問いに直面する。

ジョナサン・ラーソンの自伝的ミュージカルが元になっている『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』
ジョナサン・ラーソンの自伝的ミュージカルが元になっている『tick, tick...BOOM!:チック、チック...ブーン!』[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

実在の作曲家に扮したガーフィールドは、芸術家の苦悩を体現する繊細な演技はもちろん、ミュージカル初挑戦とは思えぬ見事な歌声とダンスを披露。ゴールデン・グローブ賞のコメディ/ミュージカル部門で主演男優賞も受賞しており、オスカー受賞にも期待がかかる。

『ロスト・ドーター』(3部門3ノミネート)

前回に引き続きの助演女優賞ノミネートとなったオリヴィア・コールマンの演技が光る『ロスト・ドーター』
前回に引き続きの助演女優賞ノミネートとなったオリヴィア・コールマンの演技が光る『ロスト・ドーター』[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

女優のマギー・ギレンホールが監督と脚本を手掛けた長編デビュー作『ロスト・ドーター』は、ヴェネツィア国際映画祭で脚本賞に輝くなど賞レースを賑わせており、オスカーでも脚色賞をはじめとする3部門で3ノミネートされている。


マギー・ギレンホールは本作で長編監督デビューを飾り、脚色賞でノミネートされている(『ロスト・ドーター』)
マギー・ギレンホールは本作で長編監督デビューを飾り、脚色賞でノミネートされている(『ロスト・ドーター』)[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

ギリシャの海辺の町で一人バカンスを満喫していた大学教授の女性レダは、子どもがいなくなったとパニックに陥る若い母親を目にしたことで、自身の若かりし日の記憶を蘇らせてしまう。母性とは?という問いを投げかけるような、考えさせられるヒューマンドラマだ。

若かりし日の主人公を演じるのは『ジュディ 虹の彼方に』など注目作への出演が相次ぐジェシー・バックリー(『ロスト・ドーター』)
若かりし日の主人公を演じるのは『ジュディ 虹の彼方に』など注目作への出演が相次ぐジェシー・バックリー(『ロスト・ドーター』)[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

近年のオスカーの常連であるオリヴィア・コールマンがレダを演じており、子育てに苦悩する若い母親を見守る優しい眼差しを向けたかと思えば、苦い思い出に心が揺らいだり…と、母親業に葛藤を抱えてきた女性の孤独や憂いを表現し、主演女優賞にノミネート。また、若かりし日のレダに扮したジェシー・バックリーも、キャリアの重要な時期での子育てに疲弊し、ある決断を下す母親を熱演し、助演女優賞候補に選ばれた。

『The Hand of God』(国際長編映画賞ノミネート)

イタリアはナポリを舞台にした監督の自伝的作品『The Hand of God』
イタリアはナポリを舞台にした監督の自伝的作品『The Hand of God』[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

『ドライブ・マイ・カー』の行方にも注目の国際長編映画賞に選ばれたのが、イタリア映画『The Hand of God』。1980年代のナポリを舞台にした本作は、サッカーを愛する少年が、家族を襲った突然の悲劇を経験し、そして映画監督として歩みだしていくヒューマンドラマ。当時世界最高のサッカー選手だったマラドーナの存在を通し、時代背景や主人公の成長が語られていく。

タイトルの『The Hand of God』とは、マラドーナがワールドカップで決めた“神の手”ゴールに由来する
タイトルの『The Hand of God』とは、マラドーナがワールドカップで決めた“神の手”ゴールに由来する[c] Netflix / Courtesy Everett Collection

メガホンを握ったのは、『グレート・ビューティー 追憶のローマ』(13)でアカデミー賞外国語映画賞(現:国際長編映画賞)を受賞したパオロ・ソレンティーノ監督。自身の思春期を投影した特別な1作で、その高い作家性を遺憾なく発揮している。

関連作品