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ノーランからスピルバーグまで!『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』からひも解く「戦争×子ども」映画たち

コラム

ノーランからスピルバーグまで!『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』からひも解く「戦争×子ども」映画たち

戦争に巻き込まれた無名の若者たち『ダンケルク』

陸軍兵士のトミーは、武器を失った状態で一人、ダンケルクの砂浜にやってくる(『ダンケルク』)
陸軍兵士のトミーは、武器を失った状態で一人、ダンケルクの砂浜にやってくる(『ダンケルク』)[c]Everett Collection/AFLO

ホワイトベースの艦長代理を務める若き軍人ブライト・ノアは、もともとは経験のとぼしい士官候補生である。またアムロをはじめとするホワイトベースの乗組員は、ほとんどが正規の軍人ではなく、民間人の少年少女たちであった。同じく窮な状況で若者たちが大きな状況に放り込まれる、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』(17)は、第二次世界大戦下の連合軍が決断したフランスのダンケルク海岸からの大撤退と救出を空、陸、海の3つの視点で語る群像劇。戦地に赴く前は浮かれ気分だった陸軍二等兵のトミーは、ダンケルクにたどり着いた自分の部隊が殲滅されていることに気づくシーンは衝撃的だ。小型船でダンケルクに向かっていた民間人のドーソンは、未来ある若者が巻き込まれる戦争に心を痛め、多くの兵士を救おうと奮闘する。ヒューマンドラマ色を極力排除した"無名の兵士達"の物語であり、命の尊さを伝える名作だ。

兵士もひとりの人間である『1917 命をかけた伝令』

戦争に加担してしまった悔恨の念に苦しむことになったドアン
戦争に加担してしまった悔恨の念に苦しむことになったドアン[c]創通・サンライズ


『007 スカイフォール』(12)で「007」シリーズを深い人間ドラマにしたサム・メンデス監督が、祖父から聞いた戦時中の話を基に撮った『1917 命をかけた伝令』(19)にも若者たちの戦争が描かれる。ドイツ軍の作戦を突き止めたイギリス空軍は、前線にいる多数の味方に伝えるため、若き兵士トムとウィルが戦地を駆け抜ける。その道中で、戦場となった町で生き残っていた赤ちゃんを抱くフランス人女性に出会う。ウィルはためらうことなく自分が持っていた食料とミルクを女性に渡し、戦場へと再び向かった。ミルクは赤ちゃんのためだが、食料まで渡したの赤ちゃんの命はその女性が守らなければならないことをわかっていたからだ。『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』ではジオン公国軍が誇る歴戦の勇士だったドアンも、ウィルと似た場面に遭遇する。そして、そんな戦争に加担してしまった悔恨の念に苦しむことから、人知れず孤島で20人の戦争孤児を守り続けることになる。兵士もひとりの人間であり、目の前で小さな命が消えそうになっていたら助けたいと思うのも人間なのだ。


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