ノーランからスピルバーグまで!『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』からひも解く「戦争×子ども」映画たち - 3ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ノーランからスピルバーグまで!『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』からひも解く「戦争×子ども」映画たち

コラム

ノーランからスピルバーグまで!『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』からひも解く「戦争×子ども」映画たち

無邪気な子どもたちを描く一風変わった戦争映画『戦場の小さな天使たち』

夜間の空襲は子どもたちにとっては一大スペクタクル(『戦場の小さな天使たち』)
夜間の空襲は子どもたちにとっては一大スペクタクル(『戦場の小さな天使たち』)[c]Everett Collection/AFLO

戦争映画が描いているのは戦闘の描写だけではない。戦時下でも楽しさを忘れない無邪気な子どもたちを描いたのが、ジョン・ブアマン監督が自身の少年期の体験を基に映画化した『戦場の小さな天使たち』(87)。ドイツ軍の空襲が迫るロンドンに住むビリーたち3兄弟にとっては、戦争は一種のアトラクションであって、壊れた家も冒険の場となる。過酷な状況でも子どもなりに楽しみを見つけようとする一風変わった戦争映画だ。戦禍を楽しく、たくましく生きる姿は、『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』では20人の子どもたちが世話をしているヤギとの交流や、ホワイトベースに搭乗している子どもカツ、レツ、キッカの3人により通じるもので、大人を翻弄する本作での姿、さらに島の子どもたちと出会うシーンなども興味深い。

ホワイトベース内で可愛がられるカツ、レツ、キッカも登場
ホワイトベース内で可愛がられるカツ、レツ、キッカも登場[c]創通・サンライズ


『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』のメガホンを務めた安彦良和監督は、本作を「ガンダム」シリーズに関わる最後の作品と語っている。それをシリーズを観たことがない人でも楽しめる「戦争と子ども」の物語としても描いたことは、「機動戦士ガンダム」を"小さな者たちのドラマ"と表現する安彦監督の想いがあったからだろう。

そしてファーストガンダムを限界まで突き詰めることで、普遍的な映画作品にまで昇華させた本作は、「ガンダム」シリーズの新たな名作として数えられることだろう。繊細なドラマと、最新アニメーションで蘇った美麗な映像をぜひ劇場で目撃してほしい。

文/竹之内円


劇場版の"新たな魅力"に迫る!『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』特集【PR】

関連作品