『人と仕事』『パンケーキを毒見する』が浮き彫りにする日本社会の現実…スターサンズ作品の精神に迫る
社会に斬り込む野心的な作品を次々と生みだす映画会社スターサンズ。同社が2020年代の日本社会を記録した2本のドキュメンタリー映画『人と仕事』と『パンケーキを毒見する』(DVD発売中)。これまで“人”と“社会”の関わり合いをフィクション作品を通して描写してきたスターサンズが、ドキュメンタリーという方法論のもとで描く両作の意義を、歴代のスターサンズ作品と照らし合わせながら紹介していきたい。
“いま”なにが起きているのか。カメラに収められる2020年代の日本
2020年の初頭からいまなお世界中で一進一退が続いている新型コロナウイルスの感染状況。この“緊急事態”は、人々の生活様式を一変させ社会に大きな変容をもたらしたと同時に、それまで有耶無耶にされ続けていた日本社会のあらゆる課題や問題をまざまざと浮き彫りにしていった。
『人と仕事』で描かれるのは、コロナ禍で期せずして注目されることになった“エッセンシャルワーカー”の人々や、経済的かつ心理的に大きな打撃を受けた職業に従事する人々。コロナの影響で新作映画の制作中止を余儀なくされた森ガキ侑大監督が、同作で主演を務める予定だった有村架純と志尊淳をレポーターに迎え、様々な人々と会い、インタビューやコミュニケーションを重ね、自身の体験と重ね合わせるようにして世の中の“いま”を見つめていく。
一方『パンケーキを毒見する』でフォーカスが当てられるのは、『人と仕事』で描かれる市井の人々ではなく、一国のトップに立つ総理大臣。コロナ禍という激動の最中に舵取りを委ねられた第99代内閣総理大臣の菅義偉は、はたしてどのような人物なのか。メディアでは語られないその素顔に、現役の政治家や元官僚、ジャーナリストや各界の専門家などの証言を通して迫っていく。
市民と政治家。本来であれば地続きの関係性であることが望ましい両者にもかかわらず、いかに乖離しているか。何十年にもわたって曖昧さを美徳としてきた日本社会が、2020年代にどのような状況に陥ることになったのか。この2作品を観れば、あらゆる角度から日本の“いま”を知ることができるだろう。
DVD 発売中
価格:4,180円(税込)
販売元: 株式会社KADOKAWA
■『パンケーキを毒見する』
DVD 発売中
価格:4,180円(税込)
販売元: 株式会社KADOKAWA