会場拡大、海外ゲストの来日が再開!さらなる飛躍を目指す「第35回東京国際映画祭」の見どころは?
誰よりも早く話題作をスクリーンで!「ガラ・セレクション」部門は今年も超豪華
話題作をいち早く鑑賞するのも映画祭の楽しみ方のひとつ。昨年創設された「ガラ・セレクション」部門では、これから日本公開を控える最新作14作品が相次いでプレミア上映される。
まずは映画祭のオープニングを飾る、二宮和也主演の『ラーゲリより愛を込めて』(12月9日公開)。第二次世界大戦後の1945年を舞台に、シベリアの強制収容所に抑留された実在の日本人捕虜たちの実話を、『護られなかった者たちへ』(21)や『とんび』(22)の瀬々敬久監督が描き出す。そしてクロージング作品には、黒澤明監督の不朽の名作『生きる』(52)を、第二次大戦後のイギリスを舞台に移し再映画化した『生きる LIVING』が上映。
サーチライト・ピクチャーズの新作からは、『スリー・ビルボード』(17)のマーティン・マクドナー監督の新作『イニシェリン島の精霊』(2023年1月27日公開)と、レイフ・ファインズとアニャ=テイラー・ジョイが共演する『ザ・メニュー』(11月18日公開)の2作品。
そしてNetflix作品からはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バルド、偽りの記録と一握りの真実』(11月18日公開/12月16日配信開始)、ノア・バームバック監督の『ホワイト・ノイズ』(12月30日配信開始)が上映。これから本格化するアカデミー賞レースの有力作を先取りしておきたい。
ほかにも『あちらにいる鬼』(11月11日公開)、『母性』(11月23日公開)、『月の満ち欠け』(12月2日公開)と、廣木隆一監督が手掛ける3作品や、デヴィッド・O・ラッセル監督の7年ぶりの新作『アムステルダム』(10月28日公開)、オリビア・ワイルド監督の『ドント・ウォーリー・ダーリン』(11月11日公開)。そしてロシアの巨匠アレクサンドル・ソクーロフ監督の『フェアリーテイル』も見逃せない。
特集上映のラインナップも充実!
最新作に限らず、普段なかなか劇場では観ることができない名作と出会えるのも映画祭の魅力。今年14年ぶりに復活した「黒澤明賞」にちなみ、日本が世界に誇る黒澤明監督が愛した映画7作品が特集。小津安二郎監督の『晩春』(49)の4Kデジタル修復版や溝口健二監督の『西鶴一代女』(52)の4Kデジタル・リマスター版に加え、黒澤監督の大ヒット作で「スター・ウォーズ」に影響を与えたとされる『隠し砦の三悪人』(58)も4Kデジタル・リマスター版で上映。一部作品ではゲストを招いたトークショーも予定されている。
近年の日本映画の注目作画上映される「Nippon Cinema Now」部門では、今年3月に急逝した青山真治監督作品が上映。また「ジャパニーズ・アニメーション」部門では「ゼロから世界を創る」をテーマに最新のアニメ映画をピックアップするほか、アニメで東京がいかに描かれてきたかにフォーカスを当てた「アニメと東京」をテーマにした4作品、今年55周年を迎える「ウルトラセブン」の記念上映も開催。それぞれ関係者を招いたシンポジウムやトークショーなども予定されているので、興味のある方は是非公式ホームページなどで詳細をチェックして足を運んでほしい。
ここでしか聞けないトークや、秋にぴったりの屋外上映も!
上映以外にも注目のイベントが目白押し。一昨年と昨年に引き続き開催される「国際交流基金×東京国際映画祭 co-present 交流ラウンジ」では、日本の映画人と海外の映画人による興味深いトークショーが展開。今年はツァイ・ミンリャン監督と深田晃司監督、ジュリー・テイモア監督と行定勲監督、フェスティバル・アンバサダーの橋本愛と是枝裕和監督の組み合わせなどが予定されている。
また東京ミッドタウン日比谷のステップ広場では、毎年恒例の屋外上映会が行われる。第94回アカデミー賞作品賞に輝いた『コーダ あいのうた』(21)や、メガヒットを記録した『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(21)などを無料で楽しむことができる。そして公開40周年を迎える『E.T.』(82)の上映の際にはトークイベントも。この秋は東京の街で映画を思いっきり楽しむ、充実した10日間を過ごしてほしい!
文/久保田 和馬