二宮和也、演じた山本幡男の息子から「父にそっくり」と言われ感謝!中島健人は共演犬と「12月のキス」
二宮和也が主演を務める映画『ラーゲリより愛を込めて』の初日舞台挨拶が12月9日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、二宮をはじめ、北川景子、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕、瀬々敬久監督が登壇。二宮が山本幡男という実在の人物を演じた本作だが、この日は幡男の息子である顕一さんご本人から手紙が到着。二宮が「ありがとうございます」と感無量の面持ちを見せた。
第二次世界大戦終了後、シベリアの強制収容所(ラーゲリ)にて不当に抑留され捕虜となりながらも、生きることへの希望を捨てなかった山本幡男の壮絶な半生を描く本作。初日から幅広い年齢層の観客が駆けつけ、興行収入20億円突破を狙える大ヒットスタートを切った。
山本幡男の壮絶な人生を熱演した二宮は、「やっと全貌を観ていただけた。ようやく観ていただけてホッとしています」と初日を迎えて安堵の表情。司会が「泣いてしまった人」と呼びかけると会場からはたくさんの手が挙がっていたが、二宮は「泣けるからいい映画というわけではないですが、我々が伝えたいことが伝わって、より感情に響いたのかなと感じることがあります」とコメント。「こういった事実の話であるということもそうですが、この作品はめちゃくちゃ芝居がいいなと思っている。芝居のよさ、うまさというか。金太郎飴じゃないですが、どこを切っても、どの絵も自信を持って観ていただける作品。そちらの観点からも『日本映画っていいな』と思ってもらえるクオリティになった」と胸を張っていた。
ステージには、劇中で山本幡男の息子である顕一の壮年期を演じた寺尾聰から、キャスト、監督に向けた音声メッセージが届いた。寺尾の音声メッセージでは「30年前にテレビで山本幡男役を演じたことや、二宮くんと昔テレビシリーズで親子を演じた縁もあり、今回短いシーンではありますが、ニノの主演作の応援が少しでもできればと思い、出演させていただくことになりました」という言葉から始まり、「青年だったニノも桃李も、いまや日本映画を代表する俳優になって、いつも遠くから見てうれしく思っていました」と愛情が込められていた。
さらに幡男の息子である顕一さんご本人からのメッセージを、寺尾が代読。顕一さんからは「完成した映画を観て、強く感じたことは、過酷なラーゲリの状況が実によく再現されているということでした」という感想や、「二宮和也さんの姿は、父の幡男にそっくりで驚きました。何気ない仕草や表情が、私の記憶している父を彷彿とさせるのです」という驚きの言葉もつづられていた。「その二宮さんが、山本幡男を『偉人』としてではなく、『普通に生きた一人の男』として演じられたことは、私にとって非常に好ましくうれしいことでした」という声を届けられた二宮は、「感謝だなぁと思います。ぜいたくでした」としみじみ。「幡男と似ている」との印象については、「俺もちょっと似ている感じがしていて。息子さんもそう思っていただけていたということは、うれしかったです」と笑顔を見せていた。
また、劇中で抑留者たちと生活を共にしていた黒毛の犬、クロを演じた大吉が登場するひと幕も。元気にステージに上がり、愛らしい表情を振りまいたクロ。劇中ではとりわけクロをかわいがる新谷健雄役を中島が演じていたが、「クロ!」と再会を喜んだ中島に抱きあげられたクロは、その顔をペロリ。中島は「12月のキスです」と笑うなどその仲睦まじい様子に会場も温かな雰囲気でいっぱいとなり、二宮も「めちゃくちゃ仲よしですね!」と目尻を下げていた。
中島は「大変な環境でもあったので、ずっと撮影の合間もクロの存在がかなりの癒しでした。キャストの皆さんと、スタッフの皆さんの心をつないでくれた存在」と語ると、二宮も「みんなの心に『クロも頑張っている』という想いがあった」と支えになったことを明かしていた。
取材・文/成田おり枝