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濱口竜介監督作が2年連続の選出!オバマ元大統領が選ぶ2022年ベスト映画の注目ポイントとは?

コラム

濱口竜介監督作が2年連続の選出!オバマ元大統領が選ぶ2022年ベスト映画の注目ポイントとは?


このリストのなかで注目したいのは、『Aftersun』(22)、『Emily the Criminal』(22)、『Till』(22)、『アフター・ヤン』(22)のインディペンデント映画と呼ばれる作品群。スコットランド出身のシャーロット・ウェルズ監督の『Aftersun』は、ポール・メスカル演じる父親と娘のソフィーが過ごした短い休暇を切り取る。挿入されるポップソングからその時代を感じさせる、メランコリックな演出に賞賛が集まっている。2022年のカンヌ国際映画祭批評家週間に出品、A24が米国内配給を行った。

カンヌ国際映画祭で絶賛され、A24が配給権を取得した『Aftersun』
カンヌ国際映画祭で絶賛され、A24が配給権を取得した『Aftersun』Courtesy of A24

『Emily the Criminal』と『アフター・ヤン』は、サンダンス映画祭に出品されたのちに劇場公開され、高評価を得た作品。『Emily the Criminal』は、ドラマシリーズ「ホワイト・ロータス」シーズン2に出演するオーブリー・プラザが主演。インフレが激しいLAで、家賃を払うために裏稼業に手を出した女性が陥る運命を、緊迫感のある演出とプラザの熱演で描いている。

小津安二郎にオマージュを捧げたSF映画『アフター・ヤン』
小津安二郎にオマージュを捧げたSF映画『アフター・ヤン』[c]2021 Future Autumn LLC. All rights reserved.

1995年にミシシッピ州で14歳の黒人少年エメット・ティルが惨殺された事件をもとにした『Till』は、2020年のサンダンス映画祭でUSドラマ部門審査員賞を受賞した『Clemency』のシノニエ・チュクウ監督作。息子の死の真実の究明を求め、人種差別によるヘイトクライム、司法の機能不全を訴えた母親をダニエル・デッドワイラーが演じている。この事件と運動により、2022年3月に人種差別によるリンチを連邦法で憎悪犯罪と定める「エメット・ティル反リンチ法」が制定されている。

1955年に起きた事件に基づき映画化した『Till』
1955年に起きた事件に基づき映画化した『Till』[c]2022 ORION RELEASING LLC. All Rights Reserved.


今年もオバマ元大統領が選ぶリストに、2019年と2020年にはあったドラマのリストが追加されることはなかった。ストリーミング全盛時代においてドラマシリーズの数が劇的に増え、視聴者だけでなく、シネフィルのオバマ氏でも見きれない状況なのだろうか。映画リストにある作品群のうち7本はすでに日本で公開もしくは配信されている作品、5本は2023年に日本で劇場公開になる作品だ。アメリカの映画業界の動向や傾向も見て取れるオバマ氏の年末リスト発表を、この先も長く続けていただきたい。

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