独占取材!リリー・フランキーが『バビロン』の自由を貫く姿勢に共鳴「ものづくりをしている人が観たらショックを受ける」の真意とは?
『ラ・ラ・ランド』(16)でアカデミー監督賞を史上最年少で受賞したデイミアン・チャゼル監督の最新作で、第95回アカデミー賞で作曲賞、美術賞、衣裳デザイン賞にノミネートされている『バビロン』が2月10日(金)に公開される。多才な顔を持ち、俳優としても唯一無二の存在感を放つリリー・フランキーにいち早く鑑賞してもらうと、開口一番「すごいものを観ちゃったな」と興奮気味にコメント。「もともとデイミアン・チャゼル監督の作品が好きだったけれど、本作を観て本当に好きだなと確信した」と大いに魅了されたという。リリーが改めて舌を巻いたチャゼル監督の才能、「同い年」だというブラッド・ピットへの信頼度、そして映画の魅力に取り憑かれた人々に対する共感までを語った。
「賛否両論あるかもしれないけれど、僕は大好き」
本作の舞台となるのは、1920年代のハリウッド黄金時代。サイレント映画からトーキー映画へと移り変わる時代に、富と名声、野心に彩られた映画業界で夢を叶えようとする人々の運命を、圧倒的な熱気と共に描く。サイレント映画の大スターであるジャックをピット、大スターを夢見る新人女優ネリーをマーゴット・ロビー、映画製作を夢見る青年マニーをディエゴ・カルバが演じる。
俳優たちの名演、熱狂的な音楽や怒涛のストーリー展開、斬新なビジュアルなどすべてが規格外。鑑賞後、リリーは「ずっと高揚した気持ちが続いている」と口火を切り、「この映画について、誰かと話したい気持ちでいっぱいです。賛否両論あるかもしれないけれど、僕は大好き。映像やファッションにも見惚れたし、音楽の使い方も絶妙ですばらしかった。これだけ“バビロン”(メソポタミア文明において栄華を誇ったが、その後衰退したかつての世界最大の都市。聖書では“バベル”として登場)という言葉に負けていない映画はないなと思いました。エグいくらい、“バビロン”だった」と率直な感想を吐露。「夢を叶えようとする若者を描くとなると、セリフでなにかを説明しようとしたり、説教くさくなりがちですよね。でも本作は、決してセリフに頼らない。それだけチャゼル監督は、俳優や音楽の力を信じているのだろうし、ものすごくスマートでセンスがいいなと思います」とチャゼル監督の感性を浴びるように、本作を堪能したという。
「デイミアン・チャゼル監督こそがアメリカンドリーム」
『ラ・ラ・ランド』や『セッション』(14)、『ファースト・マン』(18)などこれまでのチャゼル監督作品も大好きだというリリーだが、「こういう映画を作れる監督なんだと、改めて尊敬の念が増しています」と惚れ惚れ。「デイミアン・チャゼルってもっと優等生の監督なんだと認識していましたが、どうやら勘違いだったようです。こんなにコメディのセンスがあるんだというのも驚きでしたし、劇場で久しぶりにめちゃめちゃ笑いました。コメディとしても相当おもしろい」と新たな才能も目撃した様子。それと同時に「チャゼル監督が撮りたいものは、やっぱり一緒なんだとも感じた」という。
「『ラ・ラ・ランド』や『セッション』『ファースト・マン』も、夢やエンタテインメントのなかにある“光と影”を描いているという意味では同じ。影の部分を描いてエンタテインメントにしてしまうというのはやっぱりすごいなと思うし、本作のように潤沢な予算と時間をかけながら、ものすごい規模感でそれを撮ることができるなんて、もはやチャゼル監督は巨匠と呼ぶべき存在になったなと感じています」と称えつつ、「これだけ短いスパンで有名監督、人気監督、そして巨匠にまでなったなんて、チャゼル監督こそがアメリカンドリーム」だと分析する。
イラストやデザインを手掛けるほか、文筆、写真、作詞・作曲、俳優など、多分野で活動。2006年本屋大賞を受賞した初の長編小説「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」は、220万部を超えるベストセラーとなり、舞台やドラマ、映画化も果たした。ほかオリジナル絵本「おでんくん」の出版や、俳優としては『ぐるりのこと。』(08)、37回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した『そして父になる』(13)、『万引き家族』(18)など、多くの映画、ドラマなどに出演。