“PG12”の『シン・仮面ライダー』は、子どもが観ても大丈夫?「鬼滅」や「東リベ」にも共通する疑問を解説
実は「鬼滅」や「東リベ」も。「PG12」は家族で観ても問題ナシ!
このように、「シン・」シリーズとして、従来の「仮面ライダー」作品とは目線の異なる、間口の広いエンタテインメントとして完成した本作だが、映倫の審査では「PG12」に区分されており、もしかすると「子どもが観られない作品なのでは?」と勘違いしてしまっている人も少なくないだろう。ここからは、「PG12」についてわかりやすく解説していこう。
「PG12」とは、劇場公開映画などの審査を行なう第三者機関の映倫が定めた区分の一つ。映倫のホームページには「PG12」とは「12歳未満の年少者の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要」と明記されている。よく耳にする「R指定」(R15+とR18+)が一定の年齢に満たない観客の観賞を禁止しているのに対し、「PG12」は観賞を禁止するものではないという違いがある。
映倫が明示している「PG12」の判断基準をわかりやすく言いかえると、「暴力やホラーなどの要素が多少含まれるため、もし子どもが悪影響を受けると判断した時は、保護者が正しい方向へ導いてほしい」といったところだ。
今回『シン・仮面ライダー』が「PG12」となった理由は「殺傷・流血の描写がみられるため」。これだけを聞くと尻込みしてしまう人もいるだろうが、過度な表現ならば「R15+」などに区分されるため、あくまでも「PG12」で大丈夫な範囲内に留まっていると判断できる。
近年では『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)が「簡潔な刀剣による殺傷・出血の描写」、『東京リベンジャーズ』(21)が「未成年者によるノーヘルでの単車の運転および簡潔な刀剣による殺傷の描写」を理由に「PG12」になっていることを考えると、「PG12」がどの程度の描写を指すのかイメージしやすいだろう。
ちなみに暴力描写以外にも「PG12」になる作品はあり、日本でも人気の高い『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)は2010年代の再上映に際した審査で、未成年の喫煙・飲酒描写を理由に「PG12」となったほか、同様の喫煙描写で『スタンド・バイ・ミー』(86)や『ニュー・シネマ・パラダイス』(89)といった名作も「PG12」に。最近では『シング・フォー・ミー、ライル』(22)が未成年の無免許運転の描写で「PG12」となっている。
また「PG」と「R」でより厳密な区分を敷いているアメリカでは、ディズニーアニメやマーベル・シネマティック・ユニバース作品、「ハリー・ポッター」シリーズなどであっても、日本の「PG12」とほぼ同等の「PG-13」になることもしばしば。
子どもたちには、普段の「仮面ライダー」よりはちょっぴりハードな描写があることを教えたうえで映画館に足を運ぶのがいいだろう。そして鑑賞後には、『シン・仮面ライダー』に描かれた正義と悪について親子で語り合うというのも、本作のように深いテーマを持った作品ならではの楽しみ方だ。