『スパイダーマン:スパイダーバース』の功績を再確認!“マルチバース”を先取りした革新性
近年の映画界のトレンドである“マルチバース”をいち早く取り入れ、興行、批評の両面で大成功を収めた前作『スパイダーマン:スパイダーバース』(18)。その続編となる『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が6月16日(金)より公開される。本作の公開に備え、「スパイダーマン」の映画シリーズに新たな歴史を刻んだ前作のスゴさをいま一度おさらいしていこう。
コミックの世界がそのままスクリーンに!革新的アニメに世界が絶賛
ピーター・パーカーの遺志を継いだ13歳の少年マイルス・モラレスを主人公に、新たなスパイダーマンの誕生を描いた前作。闇社会に君臨するキングピンが企てるさらなる野望を前に、それを阻止するだけのパワーを持たないマイルスは不安を抱えていた。そこへ現れたのは、歪められた時空に吸い込まれ、別の次元からやってきたピーター。彼を師とし、共に戦う決意をするマイルス。そこへ別のユニバースからスパイダーマンたちが集結し、すべての次元を元に戻すための戦いに挑む。
前作を言い表すキーワードは3つ。まずは「コミックをそのままアニメーションにしたような革新的な映像表現」だ。製作を務めたフィル・ロード&クリストファー・ミラーが「今後のアニメーションの作り方を変えられたら」という想いで作り上げたアニメーションは、最先端のCGアニメーション・ツールと手描きアニメーションの技法が融合。通常のアニメ作品の何倍もの労力がかけられて作られた映像世界はアートを感じさせ、まるでコミックブックの世界に入り込んだ気分にさせられる。長年コミックで「スパイダーマン」に魅了されてきた人ならときめかずにはいられないポイントだろう。
2つ目は「多様なキャラクターと伝統的な“スパイダーマン神話”への画期的なアプローチ」。ヒーローがたくさん存在する世界で、初めてヒーローになった現代的な少年の心情にフォーカスを当てた成長物語であり、またこれまで様々な作品で描かれたヒーローたちとはタイプの異なるキャラクターが次々とヒーローとして登場。生まれた場所や人種や性別などに関係なく、誰もが大いなる力を持ち、それぞれ大いなる責任を果たしていく。多様性が重んじられる現代にふさわしい新しいヒーロー映画となった。