超絶アクション満載の『キングダム 運命の炎』は“IMAX推し”!最高の没入感で「飛信隊」と敵陣に飛び込め
嬴政の過去がひも解かれる…ドラマチックな「紫夏編」に泣く
嬴政の過去が明らかになる「紫夏編」が描かれるのも、本作の魅力だ。いまや「中華統一を目指す」という夢に向かって凛々しい眼差しで突き進んでいる嬴政だが、5年前にさかのぼると、彼には敵国で人質となり、虐げられて育ったという悲しい過去があった。そこで出会ったのが、嬴政の秦国への脱出計画を請け負う闇商人の紫夏だ。
感情を押し殺して生きていた嬴政は、紫夏と心を通わせるうちに変化を遂げていく。なかでも2人が月を眺めながら会話を交わすシーンは、原作でも印象深い名場面。紫夏と見た月の輝きがその後の嬴政を励ましていくことになるのだが、黒色やコントラストを鮮やかに活写するIMAXで鑑賞すると月夜の美しさも際立ち、より彼らの関係性にどっぷりと浸れること必至。ガラガラと馬車を全速力で走らせながらのアクションも見応えがあり、無我夢中で嬴政を救おうとする紫夏の力強さと優しさ、包容力が観客の胸を打つ。
嬴政が覚醒する瞬間を目にできるという意味でも、「紫夏編」は見逃せない。ワールドプレミアの場で、吉沢は「(『紫夏編』の嬴政は)9歳なので、本当は子役の方がやるべきだとは思った。ただ僕はあのシーンが好きすぎて、『僕がやらないとダメだ』という想いが強すぎて、『紫夏編をやるとしたら、僕にやらせてください』とずっと言っていた」と直訴していたことを打ち明けるなど、思い入れの深いエピソードだったという。それだけに紫夏との出会いを通して「中華統一を目指す」という情熱の炎を宿す嬴政の瞳までを表現した吉沢の演技も圧巻で、シャープな映像を叶えるIMAXで細部まで見届けるべきとオススメしたい。「紫夏編」が“キングダムの魂”と言われる理由を実感しつつ、山崎も「号泣した」という嬴政と紫夏のドラマチックな物語、吉沢と杏の熱演を味わい尽くそう。
そして個性豊かなキャラクターと、“濃いキャスティング”が集結しているのも本作の特徴。シリーズのなかでも人気を博しているキャラクターの代表格の一人が、大沢たかお演じる王騎将軍だ。騎馬隊を引き連れて信たちの前に登場し、王騎将軍が「全軍」「前進」とたった二言で兵士の士気を高めるシーンは、原作でも見開きを使って強烈なインパクトを残していた場面だが、実写映画でもその衝撃は健在。大沢=王騎が、思わずニヤリ&ワクワクとさせられるような存在感を発揮している。大画面で観れば、高揚感も倍増だ。
本作からの参加組である山田裕貴が演じる、秦国への深い憎しみを抱く将軍の万極(まんごく)も必見。山田は「ゾワっとさせられる万極」を心がけたそうで、不気味さをたっぷりと漂わせながら戦場の恐ろしさを伝えてくれる。またドラマ性を大事に制作されてきた本シリーズは、いつも観客が歓喜するようなサプライズが用意されているのもうれしいポイント。キャスト名が明らかになっていない重要キャラクターが出現するシーンも、ぜひとも大スクリーンで確認したい瞬間だ。どこを見渡しても血の通ったキャラクターばかりなので、隅々まで目を凝らして、役者陣がこだわりを込めたキャラクターの魅力を全身で浴びてほしい。