意外とロクなこと考えていない…!?ブラックコメディから感動作まで犬の気持ちがわかる(?)映画6選
ブラックジョークを話すオジ犬が登場する『少年と犬』
“犬がしゃべる系映画”で多いのが、主人公にだけ犬の声が聞こえるようになるパターン。あらゆる動物の声が聞こえる主人公を題材とした「ドクター・ドリトル」シリーズなど多くの作品が作られてきた。
ハーラン・エリスンの同名小説を原作とするSF『少年と犬』(75)もその一つ。核戦争によって文明が崩壊し、遺伝子変異により女性が生まれなくなった近未来。少年のヴィックは、意思疎通ができる超能力犬のブラッドと共に、女性と食糧を求めながら厳しい世界を放浪していた。ある日、少女クィラと出会ったヴィックは、彼女から独自文明が築かれた地下の話を聞き、ブラッドの忠告にも耳を貸さず、地下社会へと足を踏み入れてしまう…。
テレパシーによって犬の話すことがわかるという画期的設定がユニークな本作。かわいいルックスとは裏腹に渋いおじさんボイスで、達観したようなブラックジョークを連発するブラッドのギャップにもクスリとさせられる。
犬の言葉が聞こえるけど実は…『ハッピーボイス・キラー』
『ハッピーボイス・キラー』(14)も同じく主人公だけに犬の言葉がわかるというパターンの1作。ライアン・レイノルズが主演を務める本作は、アメリカの片田舎に暮らす孤独な青年ジェリーが、殺人を犯し正気を失っていく様子をポップに描いた異色のコメディだ。
ペットの犬や猫の言っていることがわかるジェリーは、思いを寄せる女性のことなど、日常のあれこれを相談していた。優しい言葉をかける犬となにかと皮肉的な猫との日々を過ごすジェリーだが、実は心の病気で、自身の心の声が慈悲深い犬と邪悪な猫の「声」という形で聞こえてしまっているのだった。なんともポップな形で心の病を表現している本作、このためペットの声もレイノルズが担当している。
欲望まみれの犬の姿がかわいい『ミラクル・ニール!』
モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズが監督した『ミラクル・ニール!』(15)は、ひょんなことからほとんどなんでもできる能力を手に入れた男が地球の命運を託されるコメディ。主人公の能力によって愛犬が人間の言葉と合理的な思考を与えられたため、珍しく犬が誰とでもしゃべれるようになる1作だ。
合理的な思考を手にした愛犬のデニスだが、ビスケットが必要な理由を理路整然と語ったり、猫が中庭に現れれば騒いだり、飼い主のニールへの愛をしっぽを振りながら言葉にしたり…欲望や感情に逆らえないのがリアルでかわらしい。このデニスの声をロビン・ウィリアムズが担当しており、本作が遺作となった。
今回紹介した作品以外にも、ビバリーヒルズに暮らすセレブ犬たちの日常を描いた「ビバリーヒルズ・チワワ」シリーズや2019年に実写化もされた『わんわん物語』(55)、友人宅に預けられた3匹の犬が飼い主の家を目指して山越えの旅をする『奇跡の旅』(93)、人間の留守中にペットはどんなことをしているのか?という疑問をペット目線で描いた「ペット」シリーズなど多彩な作品があるので、ぜひ『スラムドッグス』と合わせてチェックしてみてほしい。
文/サンクレイオ翼