スタジオポノック最新作『屋根裏のラジャー』は大人も子どもも虜になる“IMAX推し”。まるで絵本の世界に入り込んだような没入感を体験!
普遍的なテーマと豪華声優陣の演技を、IMAXで堪能
少年ラジャーは、ひとりぼっちのアマンダが想像した、彼女にしか見えない想像の友だち“イマジナリ”だった。しかしある時、2人の前に謎の男ミスター・バンティングが現れ、いつも一緒だったアマンダとラジャーは離れ離れになってしまう。
失意のなかでジンザンという怪しげなネコに出会ったラジャーが知る、イマジナリの運命。それは人間に忘れられたらこの世界から消えてしまうということ。そしてラジャーがたどり着いたのは、人間に忘れ去られたイマジナリたちが身を寄せ合って暮らす“イマジナリの町”。ラジャーはそこで出会った仲間たちと共に、大切な人と家族の未来を賭けた冒険へと出発することに。
本作の原作は、イギリス文学協会賞を受賞し、カーネギー賞など数々の文学賞にノミネートされたA.F.ハロルドの「The Imaginary」(「ぼくが消えないうちに」こだまともこ訳・ポプラ社刊)。“イマジナリ”という空想の存在のキャラクターが繰り広げる冒険が描かれるファンタジーでありながらも、家族の関係や友情、身近な存在を尊ぶ気持ちなどリアルの世界にも通じるテーマが描かれ、同時に子どものころに誰もが持っていた“想像する”ことの無限の可能性を改めて気付かせてくれるエモーショナルなストーリーが展開。
西村プロデューサーは本作の企画意図として、こんな言葉を寄せている。「子どもたちの手の中に、明日は用意されている。その手から明日を奪い取ろうとするあらゆるものに、映画の作り手は、いつまでも戦いを挑む必要がある」。作り手たちが想像力を駆使して生みだした世界でもって、いまの時代に投げかけるメッセージ性の強さは、大人たちにもストレートに刺さるものがあり、いつのまにか心を奪われ童心に還っていることだろう。もちろん子どもたちにとっても、一生忘れがたい映画体験になること請け合いだ。
主人公のラジャーの声を担当したのは現在15歳の寺田心。アニメーション映画初挑戦でありながら初主演を見事に務めあげ、いまこの年齢でしかできない少年期の複雑な感情を声の演技で体現していく。また、アマンダ役は『ちいさな英雄』の一編「カニーニとカニーノ」に続いてのスタジオポノック作品への参加となる鈴木梨央。2014年のテレビドラマ「明日、ママがいない」でも共演した寺田と鈴木。成長した“天才子役”2人の表現力を、細やかな息づかいひとつまで逃さずに聞き取ることができるIMAXで味わってほしい。
さらにアマンダの母親リジーの声は、『怪物』(23)での迫真の演技も記憶に新しい安藤サクラ。ラジャーがイマジナリの町で出会う少女エミリの声は仲里依紗、ラジャーの前に現れる怪しげな猫・ジンザンの声を山田孝之、アマンダの祖母のダウンビートおばあちゃんの声を高畑淳子、イマジナリの町に住む老犬の声を寺尾聰、ミスター・バンティングの声をイッセー尾形と、実力派俳優たちが脇を固める。そして『メアリと魔女の花』で主人公メアリの声を務めた杉咲花も“オーロラ役”として参加。どのようなかたちで登場するのかは、映画を観てのお楽しみだ。