スタジオポノック最新作『屋根裏のラジャー』は大人も子どもも虜になる“IMAX推し”。まるで絵本の世界に入り込んだような没入感を体験!
まるで3Dで観ているような没入感!美しいイマジナリの世界に全身で飛び込もう
ここからは、本作の核心に触れないようにIMAXの魅力にたっぷりと浸れるシーンをピックアップしていこう。
まずは映画の冒頭シーン。スクリーンに映しだされるのは、スタジオポノックの技術力の高さをまざまざと感じさせる美しい景色。ラジャーのモノローグに乗せて広がる想像力と活力に満ちた世界で、一気に作品のなかへ引き込まれていく。また、映画序盤に見られる少し窮屈そうな屋根裏部屋でアマンダとラジャーが一緒に遊ぶシーンも、アマンダの想像力が作りだした世界へと一気に解き放たれる感覚がたまらない。
なんといっても注目すべきは、ラジャーがジンザンに導かれてたどり着く“イマジナリの町”。どこの町にもあるような広い図書館の壁一面に並ぶ無数の書籍、そこに集う普通の人々と、彼らからは見ることができない“イマジナリ”たちが入り混じる。それだけで、きっと現実世界のどこかにもこのような“イマジナリ”が集まる空間が存在しているのではないかとついつい想像したくなる。
そして図書館が閉館すると、毎晩異なる場所へと様変わりしていく。ヨーロッパであったり日本であったり、一本の映画のなかでこれだけ多種多様な景色を見ることができる点もスタジオポノックならでは。IMAXの没入感も相まって、イマジナリたちと一緒に旅している気分が味わえることだろう。
さらには登場人物やイマジナリたちが織りなす物語の背景にある空のディテールにも注目してほしい。2Dなのに3Dを見ているような、あるいは本物の星空を見ているかのような立体感で、作品全体を包み込んでくれる。こうしたクリエイターたちの細部にわたるこだわりが貫かれた映像を確認できるのもIMAXの強み。もちろんそれは音響効果の部分でも存分に発揮され、観客のいる現実と映画のなかの現実、そこに存在するファンタジーの世界との結びつきをより強固なものにしてくれる。
耳からイマジナリの世界を堪能するならば、音楽プロデューサーの玉井健二(agehasprings)が手掛けた音楽、さらにイタリアの歌曲や『2001年宇宙の旅』(68)でも有名な交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」などを取り入れた音楽の数々も外せない。エンディングには「Say Something」でグラミー賞を受賞したア・グレイト・ビッグ・ワールドと、エミー賞受賞のシンガーソングライターのレイチェル・プラッテンのタッグによる「Nothing's Impossible」が流れ、クライマックスの余韻にしばらく浸れることまちがいなしだ。
IMAXの至高の上映環境で全身をもって“イマジナリの世界”を感じたら、きっと映画館を出たあとの景色がこれまでとはまるで違って見えるはずだ。寒い冬の季節を心の芯から暖かくしてくれる珠玉の映画体験を味わいに、大切な人と一緒に映画館へ足を運ぼう!
文/久保田 和馬