クリエイティブを尊重し、秀作を次々発表するA24。記録更新のヒット『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』へ連なる功績
ハリウッドの規範に囚われない多様さ。ジャンル映画も次々と発表
製作スタイルも自由なら、撮るジャンルも自由。先述した『ムーンライト』に加え、『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』(19)、『ミナリ』(20)、『インスペクション ここで生きる』(22)といった、保守的なメジャースタジオでは敬遠されがちな、複雑なテーマをもった作品に積極的に取り組んでいる。
映画業界では下に見られがちな、ジャンル映画も例外ではない。とりわけ低予算で製作できるホラーはA24の十八番であり、そこから多くの才能が巣立っていった。その代表格はアリ・アスター監督。初長編の悪魔的な儀式を題材にした『へレディタリー/継承』(18)で注目され、さらに閉鎖的な信仰コミュニティの恐怖を描く『ミッドサマー』が世界的に大ヒットを飛ばした。アスター監督の新作『ボーはおそれている』(2024年2月16日公開)も前2作と同様にA24が製作を務めている。
このジャンルの近年の大当たりはタイ・ウェスト監督の『X エックス』(22)だろう。1970年代のスラッシャーホラーにオマージュを捧げながら、血みどろの惨劇を描いた同作は興行的に成功を収め、前日談となる『Pearl パール』(22)も好評を博した。ウェスト監督はA24と組んだこの2作に続くシリーズ第3弾『MaXXXine(原題)』の撮影を終え、現在は急ピッチで編集作業を進めているとのこと。
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ホラーのジャンルに収まらない『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』のおもしろさ
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