ディズニー100周年記念作『ウィッシュ』が初登場No. 1!ディズニーの歴史とたどる、ヒットの決め手とは
12月15日から12月17日までの全国映画動員ランキングが発表。ウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念して製作されたディズニー・アニメーション最新作『ウィッシュ』(公開中)が、見事に初登場1位を獲得した。
100周年にふさわしいディズニーの“王道”がヒットスタート
生田絵梨花と福山雅治、山寺宏一らが日本語吹替版で声優を務めた『ウィッシュ』は、どんな“願い”も叶うとされる魔法の王国を舞台に、主人公のアーシャがすべての願いを支配する王様に立ち向かう姿を描く。初日から3日間の観客動員数は43万4376人、興行収入は6億1200万円で、最終興収50億円を記録したディズニー/ピクサーの『リメンバー・ミー』(17)の初動を上回る成績をあげている。
いまさら説明不要ではあるが、100周年記念作の公開というこの機会に、ざっくりとディズニーの歴史をたどっていこう。その始まりは、1923年10月16日に設立された「ディズニー・ブラザーズ・カートゥーン・スタジオ」。最初に送りだされた作品はウォルト・ディズニーが前身の「ラフォグラム・フィルム」時代に制作した『アリスの不思議な国』(1923)であった。これは実写とアニメの融合作品で、「アリス・コメディ」としてシリーズ化されていく。
その後は「オズワルド・ザ・ラッキーラビット」シリーズなど数々のアニメシリーズが生まれ、『蒸気船ウィリー』(1928)であのミッキーマウスが登場。瞬く間にアメリカ中の人気を獲得することになる。1937年に世界初のカラー長編アニメ映画『白雪姫』(37)が公開され記録的ヒットとなり、1950年にはディズニー社初の全編実写長編映画『宝島』(50)が公開。1955年にアナハイムにディズニーランドがオープンするなど、事業の拡大と共にエンタメ界での地位は不動のものになる。
1966年にウォルト・ディズニーが死去して以降、1980年代までの長きにわたって人気が低迷した期間が続いたものの、“ディズニー・ルネサンス”の到来によって復活。代表的な作品はまだまだ数えきれないほどあるが、挙げていけばきりがない。関連スタジオも含めれば、実写やアニメ、長編短編も合わせて1000以上の作品が存在しており、世界のアニメーション史、映画史、あるいはエンタメ史においてこれほど重要な企業はほかにないだろう。
これまでもディズニー社の節目となる作品はいくつもあった。例えば『ピーター・パン』(53)は30周年の記念作であり、ウォルトの死後にプロジェクトがスタートした最初の作品『ロビン・フッド』(73)は50周年の年に生まれ、そして『アナと雪の女王』(13)は90周年の年に作られたスタジオ最大のヒット作だ。今回の『ウィッシュ』は100年という非常に大きな節目であり、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオにとっては62本目の長編作品となる。
実は日本よりも先に公開された北米では、100周年記念作という大きな期待とは裏腹に、あまり芳しい興行成績をあげられておらず、初週末の興行収入ランキングはまさかの3位スタート、4週目でようやく興収5000万ドルに乗り上げたところだ。その背景には、コロナ禍によって劇場と配信との距離感が大きく変わってしまったことがあげられ、メインの客層であるファミリー層を劇場に呼び戻すのにかなりの苦戦を強いられていると報じられている。
しかし日本では、近年のディズニー作品のなかでも指折りの好スタートを切ることに成功した。それはやはり、“ディズニーらしさ”が全面にあふれたファンタジー世界に、アーシャという新たなディズニー・ヒロインの登場、そして耳馴染みの良いミュージカル要素と、これまで日本で愛されてきたディズニー作品の特徴が凝縮されているからであろう。まさに日本の観客の多くがディズニー作品に求めてきた“王道”。ここからの年末年始、さらに成績を伸ばすことは確実だ。