快進撃を続ける河合優実…『佐々木、イン、マイマイン』から『サマーフィルムにのって』『PLAN 75』『あんのこと』へとつながる役者としての存在感に迫る - 3ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
快進撃を続ける河合優実…『佐々木、イン、マイマイン』から『サマーフィルムにのって』『PLAN 75』『あんのこと』へとつながる役者としての存在感に迫る

コラム

快進撃を続ける河合優実…『佐々木、イン、マイマイン』から『サマーフィルムにのって』『PLAN 75』『あんのこと』へとつながる役者としての存在感に迫る

社会に見放された女性を体当たりで演じ、現実にある歪みを突き付ける『あんのこと』

そんな河合の最新主演作『あんのこと』(公開中)は、『AI崩壊』(20)などの入江悠監督が実際の事件をモチーフに、この世の地獄から抜け出せない少女、杏の壮絶な人生を描いた衝撃の社会派ドラマ。

【写真を見る】社会が救うことができず、命を絶った実在の女性をモデルにした『あんのこと』の主人公を圧倒的リアリティで演じきった河合優実
【写真を見る】社会が救うことができず、命を絶った実在の女性をモデルにした『あんのこと』の主人公を圧倒的リアリティで演じきった河合優実[c]2023『あんのこと』製作委員会

幼少期から母親に暴力を振るわれ、十代半ばで売春を強いられ、シャブ中でウリの常習犯でもある20歳の香川杏。ゴミ屋敷のような汚いアパートの一室で、ホステスの母親と自分が面倒を見なければいけない足の悪い祖母と暮らしているそんな彼女を、河合は文字通り体当たりでボロボロになりながら演じていて言葉を失う。

だが彼女は、そこまで生々しくやらなければ、この日本のどこかに実際にいる杏と同じような境遇の子どもたちの痛みや、彼らを救えない社会の歪みをリアルに感じてもらえないことを知っているのだろう。杏に血肉を注いだ河合優実が突き付ける、目を背けたくなる現実…。その先に待ち受けるものとは?迫真の演技に託された願いをどう受け止めるかは私たちに委ねられている。


文/イソガイマサト

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