【今週の☆☆☆】“クリスマス”を盗みだす!?楽しい仕掛け満載の『グリンチ』など、週末観るならこの3本!
Movie Walkerスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。クリスマスや年末年始に向けた注目作が次々と劇場公開される12月14日(金)から今週末にかけて、映画ライターが“熱く推す”ファンタジー大作から社会派人間ドラマまで、バラエティー豊かな作品をピックアップ!
テンポよく笑って温まるゴキゲンな時間をお約束!『グリンチ』(12月14日公開)
絵本作家ドクター・スースの名作が、『ミニオンズ』(15)『ペット』(16)のスタジオ、イルミネーションによって映画化された。欧米ではサンタクロースと並ぶ“クリスマスの代名詞”だというグリンチって、一体、どんなヤツ!?それは…クリスマスが大嫌いな超ひねくれ者!そんなグリンチが、みんなが楽しみにしているクリスマスを、町中から盗み出そうと画策し…。愛犬マックスとの関係性がグリンチの憎めなさをあぶり出し、心をくすぐる。グリンチが盗みに入った家の少女、シンディ・ルーと繰り広げる騒動にもほっこり。一方、イルミネーションらしい、遊び心にあふれた小道具や発明品の数々にもワクワクしっぱなし!テンポよく笑って温まるゴキゲンな時間をお約束。同時上映の短編『ミニオンのミニミニ脱走』も必見だ!!(映画ライター・折田千鶴子)
絶望のどん底で世にも怪奇な夢を見た少女の“暗い輝き”『メアリーの総て』(12月15日公開)
今から200年前に出版された「フランケンシュタイン」は、多くの映画監督にも影響を与えたゴシック小説の名作だが、作者である18歳の女性メアリー・シェリーについて詳しく知る人はあまりいないだろう。過去に『ゴシック』(86)『幻の城 バイロンとシェリー』(88)などでも描かれてきたメアリーの物語を、現代的な視点で新たに映画化。封建的な慣習に抗って作家を志したヒロインの波瀾万丈の軌跡を、サウジアラビア出身の女性監督が深い共感の眼差しで映し出す。詩人パーシー・シェリーとの駆け落ちから始まるメアリーの人生は貧困などの不幸の連鎖に見舞われるが、それを演じたエル・ファニングは完璧なはまり役。絶望のどん底で世にも怪奇な夢を見たメアリーの“暗い輝き”をスクリーンにきらめかせている。(映画ライター・高橋諭治)
リアルな語り口が観る者を暴動の渦中へと引きずり込む『マイ・サンシャイン』(12月15日公開)
暴動のニュースが記憶に新しいパリでは、2005年にも郊外で暴動が起きている。それを体験した『裸足の季節』(15)の女性監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンによる本作は、暴動の本質に迫った社会派人間ドラマだ。1992年、人種差別を発端にLAで起こった暴動。身寄りのない子どもたちを養っている黒人女性は、この混乱の中で、愛する者を守ろうと必死の奔走を繰り広げる。黒人を痛めつける白人警官への怒りは“ヘイト”と化し、一方では騒ぎに乗じて強盗・略奪を働く者もいる。そんな混乱の中で、人には何が必要なのか?リアルな語り口は観る者を暴動の渦中へと引きずり込む。政治や経済が良好とはいえない日本の観客にも歯応えを感じさせる力作!(映画ライター・有馬楽)
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週末に映画が観たいけど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス