未完成版に“映ってはいけないもの”が…!?『キャッツ』VFXアーティストがトム・フーパー監督を痛烈批判
世界的人気ミュージカルを『英国王のスピーチ』(10)や『レ・ミゼラブル』(12)で知られるトム・フーパー監督が実写映画化した『キャッツ』(19)。登場する“ネコ”たちのビジュアルが発表されるや世界中で物議を醸し、公開後は異例のVFX差し替え。さらに9500万ドルの制作費に対し全世界興収7369万ドルと興行的にも大失敗となり、第40回ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)では最低作品賞など最多6部門を席巻した。そんな同作に、公開から数か月を経て新たな波紋が。
それはVFXチームに参加したアーティストが、製作現場でのフーパー監督の侮蔑的な態度をThe Daily Beastのインタビューで告発したのである。そのアーティストは、アーリーカット版を観た時のことをこう振り返る。「最初に観た時『一体これはなんだ?』と驚き、一時停止してチームの責任者に連絡しました。『ケツの穴が映ってんぞ!ケツの穴だ!』ってね。目立っていたわけではないが、映っていると思って観ればすぐにわかるように映っていたんだ」。
さらにアーティストは、製作現場の様子について「まるで奴隷のような扱いだった」と明かす。週90時間労働が何か月もつづき、フーパー監督はアニメーションに関する知識がまるでないにもかかわらず、VFXアーティストたちの仕事を批判しつづけたのだという。「彼は僕らに話す時、まるでゴミに話しかけるような態度だった」。そしてフーパー監督が劇中に登場するネコたちの動きを本物のネコのようにと要求したことについて「知ってると思うけど、ネコは踊らないんだよ」と痛烈に批判した。
そうして完成した同作の惨状は前述の通り。2月に行われた第92回アカデミー賞の授賞式では、同作に出演したジェームズ・コーデンとレベル・ウィルソンが視覚効果賞のプレゼンターとして登場し「私たち以外は誰も優れた視覚効果の重要性を理解していません」と皮肉る一幕も。前述のラジー賞で、史上3人目となるオスカー&ラジーW制覇という不名誉な記録を打ち立てたフーパー監督は、まだこの件についてコメントをしていない。
文/久保田 和馬