「“テニプリ”は人生そのもの」。原作者・許斐剛と声優・皆川純子が「テニスの王子様」への思いを語る
「普段、リョーマの声は出したりするの?」(許斐)「出しません!(笑)」(皆川)
――連載22年、アニメ化から20年、原作者と主人公を演じる声優として長く関わってこられたお2人ですが、お互いに聞いてみたいことはありますか?
許斐「なんでも聞いてください(笑)! O型で、かに座で…」
皆川「知ってます…(笑)」
許斐「皆川さんに聞いてみたいのは、普段の生活でリョーマの声で話したりすることがあるのかどうか。例えばインターホンが鳴って応対する時など」
皆川「『…チーッス(リョーマの声色で)』みたいなことですか(笑)?やらないですよ! なんだこの人って思われちゃう(笑)。でも、何気なく発した声が『いまの、すごくリョーマだね』って家族から言われることがあって。それくらい自然に出るようになっているのかもしれません」
許斐「やっぱり20年も演じていると、しみ込んでいる」
皆川「私から先生に聞きたいのは、今後のテニプリ…。でも、終わりなんて考えたくない! やっぱり聞きません(笑)」
許斐「ストーリーはだいぶ先まで考えていますよ。でも、世のなかはどんどん変わるので、その時々に『物語が面白くなるぞ!』と感じたものがあると思うので、きっと一筋縄では行かないと思います」
――リョーマとのお付き合いもまだまだ続いていきそうですね!
皆川「やった!(笑)」
「ファンの皆さんの喜ぶ顔がなによりも嬉しい。しっかり描くことで恩返ししたい」(許斐)
――長く続いてきた「テニスの王子様」シリーズ。改めて、お2人にとってどんな作品になっているかをお聞きしたいです。
皆川「この質問を受けることは多いですが、いつも言葉では表せなくて…。許斐先生が『テニスの王子様』を、越前リョーマを生み出さなかったら、私の人生はまったく違ったものになっていたんですよ。声優人生、いまとなっては“人生とともにあるもの”という感じ。一緒にいるのが当たり前の、家族のような存在かもしれません」
――私のようないち読者にとっても、人生で一番影響を受けたと感じる作品です。
許斐「漫画家という裏方の仕事をしているなかで直接そういう声を聞けることがやっぱりうれしいです。皆川さんに『人生とともにある』とまで言ってもらえると、やはり連載を続けてきてよかったなと感じます。連載を始めて22年が経ちますが、一時期は『新しい作品を作りたい、『テニスの王子様』と両輪で連載をやってみたい』という気持ちが強くなった時期もありました。しかし、『テニスの王子様』をしっかり描き上げてファンの皆さんに伝えていくことに集中しようと思えるようになってから、作品もファンの皆さんの反応もさらに盛り上がったと感じられて…。いつも皆さんが応援してくれて、今回の劇場版でも私だけじゃない、スタッフの皆さんが頑張ってくださっていることに感謝しています。『テニスの王子様』という作品を描くことが私にできる皆さんへの恩返しであり、一番喜んでもらえること。私にとっても『テニスの王子様』は人生ですね。まだまだ続いていく人生です」
取材・文/藤堂真衣