ジェニファー・ハドソンにレディー・ガガ…演技力と歌声で、世界を感動の渦に巻き込んだ俳優&歌手たち
伝説のシンガー自らが指名!『リスペクト』でさらなる高みへと駆け上がるジェニファー・ハドソン
こうした音楽エンタテインメントの様々な魅力を凝縮した新作が、『リスペクト』だ。『アリー/スター誕生』のようにシンガーとして実績のあるスターが主演し、『ロケットマン』のようにレジェンドの存在になりきる。しかも誰もが知る名曲が次々と登場する。
『リスペクト』でその半生が描かれたのは、“ソウルの女王”として世界中に愛された、アレサ・フランクリン。特に母国アメリカでは、スーパーボウルで国家を斉唱し、オバマ大統領就任式でも歌うなど、神レベルで尊敬されている。2018年にこの世を去ったフランクリンの映画が、最高のキャスティングで完成したのだ。
フランクリンを演じたのは、生前の本人から「この人以外には任せられない」と指名を受けていたジェニファー・ハドソン。実在のポップスソウルグループ「シュープリームス」をモデルにしたミュージカル『ドリームガールズ』(06)で映画デビューしたハドソンは、類まれな歌唱力を世に知らしめ、いきなりアカデミー賞助演女優賞を受賞した。『ドリームガールズ』自体、音楽界で地位を確立したビヨンセが主演し女優として成功を収めた、音楽エンタテインメントの傑作。その作品でビヨンセに劣らない存在感を放ったハドソンに、大御所のフランクリンが「自分を演じてほしい」と感じたのも無理はない。
フランクリンの代表曲は数えきれないほどあるが、タイトルの「Respect」をはじめ、「(You Make Me Feel Like) A Natural Woman」「Amazing Grace」など、多くの人が一度は耳にしたことのある名曲を、劇中でハドソンがカヴァーする。しかも単なるコピーではなく、彼女の実力も最大限に発揮され、未体験のカタルシスをもたらしてくれる。
ハドソンは、『ドリームガールズ』でアカデミー賞を受賞後、2009年にはシンガーとしてもグラミー賞最優秀R&Bアルバム賞を受賞しており、映画界と音楽界の両方でトップの座に就いた貴重なアーティスト。その後、映画ではミュージカル『キャッツ』でメインキャラのグリザベラ役を任され、有名な「メモリー」を熱唱した。そんな彼女と、フランクリンが一体化し、間違いなくハドソンの新たな代表作となった『リスペクト』で、音楽エンタテインメントの真髄を味わってほしい。
文/斉藤博昭