シロさん&ケンジたちの言葉が心に沁みる…「きのう何食べた?」名セリフまとめ!
「別れないための努力を惜しまないって、素敵よ」(富永佳代子)
史朗とは、特売品やいただきものを分け合う仲の主婦、富永佳代子。史朗がゲイであることを知っており、史朗が賢二や家族に関する愚痴を素直に言える貴重な相手だ。大量の桃を分け合った第8話では、「この桃だって、ケンジを喜ばせたくて買ったわけでしょ?」と聞く佳代子に、史朗は「いや、それは、そういう努力をしないと簡単に切れる関係だからですよ。結婚とか、簡単に別れられない社会的な契約も責任もなにもないですからね、俺たちは」と理屈っぽく説明。そこで佳代子は「でもね、別れないための努力を惜しまないって、素敵よ」と言い、史朗をハッとさせる。
お互いに“別れないための努力”を惜しまずにできるかどうか。正反対の性格ゆえに衝突も多い史朗と賢二だが、譲り合ったり、許し合ったりしながら、絆を深めていく姿には見習うべきところが多い。
「許すなんて、そう簡単にできることじゃないんだから」(三宅玲子)
ラブストーリーとしても秀逸な本作。第10話で、賢二が働くヘアサロンのオーナー、三宅祐の妻、玲子が、賢二にそっとささやく「ケンちゃん、大事な人に絶対に浮気なんかされちゃダメよ。許すなんて、そう簡単にできることじゃないんだから」という言葉は強烈だ。
賢二は、実は祐が店の客と浮気中であることを知っているだけに、なにもかもお見通しの玲子の言葉が胸に突き刺さる。人間は自分を裏切った相手をそう簡単に許せない生き物。だからこそ、たとえ相手の浮気が軽い気持ちだったとしても、それが自分たちの別れにつながってしまう可能性がある。浮気に対する恐れは、単に嫉妬心や独占欲だけが理由ではないのだという視点が深い。この後、史朗がゲイの友人である小日向と浮気してしまうのではないか、という不安を賢二が史朗に泣きながらぶちまけるクライマックスの名シーンも必見だ。
「なに言ってんだ。死ぬなんて、そんな…そんなこと言うもんじゃない」(筧史朗)
第12話で、史朗は「いま、俺が、両親が思っているよりも不幸じゃないってこと、分かってほしくて」という切実な思いから、正月に賢二を連れて実家に帰る。その帰り道、「夢みたい。恋人の実家に遊びに行って、親御さんとごはん食べる日が来るなんて。だって、俺には、そんな日が来るなんて、永久にないって思ってたもん。もう、俺ここで死んでもいい」と泣く賢二に、史朗は「なに言ってんだ。死ぬなんて、そんな…そんなこと言うもんじゃない。食うもん、油と糖分控えてさ、薄味にして、腹八分目で、長生きしようね、俺たち」と言って、賢二の肩をやさしく抱き寄せる。
一見、“食”をテーマにした本作らしいユーモアのあるセリフだが、「死ぬなんて言うな」、「共に長生きしよう」という言葉は、もうこれ以上ないほどの愛の告白ではないだろうか。人生の折り返し地点を過ぎた主人公たちにとって、老いた親のことも含め、死は決して遠くにあるものではない。「死ぬなんて軽々しく口にするな」というセリフは劇場版のなかにも幾度となく登場し、そのたびに2人の愛が深まっていることを感じさせてくれる。