りんごのキャラメル煮トーストに唐揚げ弁当…2021年の“映画飯”と言えばコレ!なメニューを完全再現
“美味しそうなご飯”が登場する映画は、“良作映画”の匂いがする。食事そのものが主役な映画もあれば、食卓を囲むことでキャラクターの関係性が変わったり、忘れられないシーンが生まれたり…。今回は2021年に公開された映画のなかから、スクリーンで観て食べたくなった“映画飯”をMOVIE WALKER PRESS編集部メンバーが全9品再現。遠出が出来なくても、“映画飯”でもっと楽しくなる、おうち時間の過ごし方を提案したい。
りんごのキャラメル煮トースト from 劇場版『きのう何食べた?』
甘党の編集部員、黄が再現したのは、劇場版『きのう何食べた?』に登場するりんごのキャラメル煮トースト。大人気ドラマ「きのう何食べた?」の空気そのままに、本作も、料理上手な料理上手な弁護士、シロさんこと筧史朗(西島秀樹)と、その恋人で美容師のケンジこと矢吹賢二(内野聖陽)が暮らす日々を、“食”を通して描いていく。
いつもシロさんがシェフとしてふるまうスマートな姿と、ケンジのおいしそうな食べっぷりが絶妙なバランスだったが、今回はシロさんが作ったりんごのキャラメル煮に、ケンジがアイスをトッピングしたアイデアでより一層おいしく感じさせる。2人が『体に悪いよ』と言いながら、笑って食べてる様子にほっこり。
シロさんのレシピに沿って調理するのはポリシー。りんごは皮を剥かずに均等に切っていく。大量の白い砂糖を鍋に投入。徐々に溶けてきたら、全体の温度が均一になるように、鍋を揺すって調整。甘い香りと共に、茶色のキャラメルができあがり。『りんごを入れる時、はねるので気をつけて』とシロさんが隣で教えてくれるように、りんごの煮込み具合を見ながら、火を弱くしたり、時々木べらで絡めながら炒め煮する。難しいレシピではないが、火加減の調整が大事。
焼いた食パンにリンゴを並べたら、アイスを乗っける。『あったか、つめた、甘~い。幸せ』ケンジの言葉は間違いなしだ。カロリーなんて気にせず、サクサク、なめらか、シャキシャキの食感を同時に楽しもう。本作では、なんちゃってローストビーフ、アクアパッツァ、おせちの黒豆、ぶり大根、厚揚げの味噌はさみ焼き、思い出の肉団子入りお花見弁当…たくさんの美食が登場!シロさんのレシピを調べて、あれこれ挑戦してみるのはいかがでしょうか。
●りんごのキャラメル煮トースト/2人前
・りんご(4個)は皮付きのまま、それぞれ均等分に薄く切る
・鍋に砂糖(100g)を入れて中火で熱し、かき混ぜずに砂糖を溶かして色が変わるまで加熱
・濃いあめ色になったら弱火にし、りんごを入れて混ぜる。
・りんご全体的にキャラメルと絡めたら蓋をして、時々木べらで返しながら30分ほど煮込む
・焼いた食パンに有塩バターを塗り、できあがったりんご煮をのせる
・バニラアイスをのせて、いただきます!(好みでシナモンパウダーをかけるのもオススメ)
唐揚げ弁当 from『空白』
編集部のメガネ担当、武野が再現したのは、吉田恵輔監督が手掛けた2021年の話題作『空白』に登場する唐揚げ弁当。本作では、女子中学生の万引き未遂事件と逃走中の事故をきっかけに、少女を追いかけたスーパーの店長と少女の父親が、お互いに人生を狂わせていく姿が描かれる。
本作では、様々なシーンでお弁当が印象的に使用されている。世間から、少女を死に追いやったとバッシングを浴び、憶測で痴漢の噂を立てられ追い詰められていくスーパーアオヤギの店長、青柳(松坂桃李)が、ギリギリの精神状態で購入したのり弁に唐揚げが入っていなかったことでストレスの頂点に達し、弁当屋にクレームの電話を入れるものの最後は逆に謝ってしまうシーンなども印象的だ。物語の終盤、工事現場で働く青柳が唐揚げ弁当を食べていると、奥野瑛太演じる作業員に、スーパーアオヤギのお弁当をいつも楽しみにしていたと声をかけられ、その何気ないひと言に救われる。そんな重要なシーンでもお弁当は大きな役割を果たしている。
劇中でははっきり映っていなかったスーパーアオヤギのお弁当を再現するため、今回は弁当容器を使用し雰囲気から再現!低価格でボリューミーな唐揚げ弁当にするため、大盛りの白飯と唐揚げ以外は、サニーレタス、ポテトサラダ、つぼ漬というシンプルな作りにしました。時間が経ってもジューシーさを保てるよう、鶏もも肉に塩麴を塗り、その後味をしっかりつけていくのがポイントです。
●唐揚げ弁当のレシピ/1人前
・鶏もも肉2枚(500g)に塩麹をまんべんなく塗り10分放置
・さらに生姜、醤油、鶏ガラスープの素、酒を加え20分放置
・20分経ったら、卵と片栗粉を加えてよく混ぜ、油でカラッと揚げる
・お弁当箱に、おなじみのサニーレタス、ポテトサラダ、つぼ漬を盛り付ける
・白飯にはごま塩、梅干しを盛り付けて完成!
すき焼き from 『すばらしき世界』
編集長の下田が再現したのは、西川美和監督『すばらしき世界』で、主人公の役所広司演じる三上が“出所メシ”として口にするすき焼き。13年の刑期を終え、旭川刑務所から出所した三上は、「今度こそカタギぞ」と決意を胸に上京。身元引受人となった弁護士の庄司(橋爪功)とその妻、敦子(梶芽衣子)に温かく迎えられる。
本作を手掛けたフードスタイリストの飯島奈美氏いわく、「台本から夫婦の生活を想像し、あまり豪勢すぎるのも違うと思ったので、脂が少なめの牛肉を準備しました。大切なシーンの一つだと思ったので、とにかく監督の想いが伝わるように」とのこと。コメントに忠実に、脂少なめの牛肉をチョイス。
普通ならしいたけにえのき、豆腐、三つ葉とどっさり具材を入れたいところですが、劇中シーンを観てみると、ぐらぐら煮立った鍋から覗くのは、ネギと肉、肉、肉。かなりシンプルな構成だ。「とにかく肉を食べさせたい」という夫婦の気持ちが透けて見える。
レシピはいたって簡単なので(楽なメニューを選んですいません!)、少しだけ準備とコツを。割り下は市販のものは使わず、強火でアルコールを飛ばした酒、みりんに醤油、ざらめを足して、具材に火を入れる前に作っておこう。玉ねぎは味が染みるよう、軽くレンジでチンして下ごしらえ。長ネギもいきなり鍋で煮ずに、玉ねぎと共に牛脂で焼き色がつくまで焼いておくと、香ばしさが増すのでおすすめです。
『すばらしき世界』の劇中では、一人で食べる卵かけご飯、三上の性格を表すようにキチッと切られたメロン、ホルモン屋での焼き肉、就職祝いの団らん(梶芽衣子さんが「見上げてごらん夜の星を」を歌唱するシーンもあります)など、たびたび食事シーンが登場するので“映画飯”映画としても観直してみては。
●すき焼きのレシピ/2人前
・酒とみりんを1:1(各150cc)で煮立たせアルコールを飛ばす。中火にしたら同量(150cc)の醤油を入れ、ざらめを50gが溶けたら割り下の完成。
・くし切りにした玉ねぎ(1個)をレンジで3分ほどチンして、味が通りやすくする。
・鉄鍋に牛脂1かけを入れ、長ネギ(1本)と玉ねぎを焼き色がつくまで焼いて、一度取り出す。
・その鍋で肉を焼く。肉全体に火が通らないうちに、割り下と豆腐、きのこなど具材を投入。
・卵につけて、いただきます!
トムヤムクン from 『ラーヤと龍の王国』
辛いもの大好きな女性編集部、別所が再現したのは、3月5日に劇場公開され、現在Disney+で配信中の『ラーヤと龍の王国』から“赤いスープ”…もといトムヤムクンだ。その昔、聖なる龍たちが自らを犠牲にして、邪悪な魔物からクマンドラという王国を守り抜いた。しかし王国は5つに分断され、500年の時を経て再び魔物に脅かされしまった。ハート国の娘ラーヤは、平和を取り戻すべく、“最後の龍”の力を蘇らせようと立ち上がる。
映画の冒頭で、「分断されても和解はできるはず」と信じるラーヤのお父さんが、5つの国の人々を集めた宴を開きます。宴で振舞うため、「ハートのエビペースト、タロンのレモングラス、スパインの竹の子、ファングの唐辛子、ハートの砂糖で…」と、それぞれの国の名産を使ったスープを作ります。和解の証に各国の食材を取り入れる発想にもなるほど、と思いましたし、辛いもの好きな私としては「唐辛子、結構な量入れるな!」とお味が気になりました(笑)。
見た目や食材から考えるとトムヤムクンなのかな?と推測。お父さんにならって、『フィリピン産のエビペースト、千葉県産のレモングラス…』と唱えながら鍋に投入。煮込んでいると、異国料理独特な香りが漂い、ちょっとした海外旅行気分にも。目分量でしたが、見た目はかなり再現度が高め!いざ実食すると…かなりスパイシー!しかし辛い物好きな私にはちょうどよく、宴の食卓には串料理も置いてあったなと思い、市販の焼き鳥とご飯を添えて美味しく頂きました。
あまり作る機会がなかったエスニック料理ですが、楽しい映画との出会いをきっかけにレパートリーも広げられて、一石二鳥でした!年末年始のお時間がある時、ぜひ再現チャレンジしてみて欲しいです。
●トムヤムクンのレシピ/2人前
・赤唐辛子(2本)をみじん切り、生姜(一カケ)を薄切り、赤玉ねぎ(2分の1個)をくし切りにする
・水(500ml)に鶏がらスープの素を入れて沸かす
・煮立ったら、エビペースト(大匙2)、レモングラス(適量)、竹の子(適量)、唐辛子、生姜、赤玉ねぎ、ナンプラー(お好み)、レモン汁(お好み)、砂糖(お好み)を入れる
・煮立ったら完成!