小林聡美×松重豊、アン・ハサウェイ×ロバート・デ・ニーロらが贈る人間賛歌!『ツユクサ』など心温まる、大人の観るべき映画8選
『シェフ』『永い言い訳』にも通じる、かけがえのない仲間たちと気づいた日常の幸せ
日々楽しく送る芙美には年の差の親友、航平の支えだけではなく、周りの個性的な大人たちも彼女に元気づけている。同じく仲間たちの存在に勇気づけられるのが、「アイアンマン」シリーズのジョン・ファヴローが製作、監督、主演、脚本を務めた『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(14)。一流レストランで総料理長を務めたシェフが、ひょんなことからフードトラックで絶品キューバサンドイッチを移動販売することになるロードムービー。ケンカっ早いが魅力的なシェフの窮地を救おうと、元妻、元同僚、息子らが一致団結して協力する様子にほっこりさせられる。
また、本木雅弘が事故によって妻を亡くした男性に扮した『永い言い訳』(16)では、妻の死に対してなんの感情も沸いてこなかった人気作家である津村の心の旅を追う。彼は同じ事故で母親を失った妻の親友の子どもたちの面倒を見ることを申し出る。西川美和監督のメガホンによるこの作品では、同じ苦しみを抱える仲間と支え合う体験を通じて、誰かのために生きる喜びを知った男の変わっていく姿が感慨深い。
過去のある出来事によって、哀しみを抱えている芙美。そんな彼女の心の支えとなっているのが、同じ職場で働く仲間たちだ。航平の母である櫛本直子は、断酒を決意した芙美にそっと寄り添いつつ、その一方で、継父にあまり懐かない息子のことを心配してもいる。近年、話題作への出演が続く平岩紙の、さりげなくも滋味あふれる演技に癒される。さらに、夫を亡くすという辛い経験をしながらも、新しい恋に突き進む菊地妙子に扮したのは、江口のりこ。飄々とした演技で、作品にコミカルなテイストを与えた。それぞれに事情を抱えながらも、日常を丁寧に生きる仲間たちを体現した、実力派女優たちのアンサンブルは絶品!
思いがけない出会いが背中を押す…『最高の人生の見つけ方』『マイ・インターン』のように踏み出す新たな一歩
常にそばにいてくれる心強い同僚もいれば、芙美の代わり映えない日々に新しい刺激を与えてくれる人物も登場する『ツユクサ』。そんな“一生モノの出会い”を描いた作品といえば、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンというオスカー俳優2名の豪華共演で描かれる『最高の人生の見つけ方』(07) も忘れてはいけない。それぞれに余命宣告を受けている自動車整備士のカーター(フリーマン)と実業家のエドワード(ニコルソン)は、同じ病室になったことをきっかけに、悔いなき人生とするため“死ぬまでにやりたいことリスト”を実現する旅に出る。残り6か月という制限された時間のなか、人生を良いものにしようと旅立つ男2人のきらめきはまぶしい。
このほかにも“人生の師”との出会いが感動を呼ぶのはアン・ハサウェイ×ロバート・デ・ニーロ共演『マイ・インターン』(15)。ニューヨークのファッションサイトを運営する会社の社長であるジュールズ(ハサウェイ)は、仕事も家庭も順風満帆。そんな折、彼女の下に40歳も年上のシニア・インターンのベン(デ・ニーロ)がアシスタントとして配属される。試練にぶち当たったジュールズを優しく励まし、アドバイスを与えるベンの人間性が魅力たっぷりに描かれた。
なじみのバーでナポリタンを食べながらマスターと話している芙美は、ジョギング中に何回も見かけた草笛が上手な男性、篠田吾郎(松重豊)と偶然の再会を果たした。草笛の練習や、会話を重ねていくなかで、芙美と吾郎は理解し合っていく。寂しいながらも充実した日々を送る芙美には、恋の予感も訪れる。それぞれの過去を抱える2人は、新たな人間関係を築くことで一歩前に踏みだすきっかけをもらう。