IMAXで、ブラピ×伊坂ワールドに乗り込め!特濃エンタメ『ブレット・トレイン』に没入する“IMAX推し”
伊坂幸太郎のベストセラー小説「マリアビートル」をハリウッドで映画化した話題作『ブレット・トレイン』がついに公開となった。日本を舞台に東京から京都までを貫く超高速列車のなかで繰り広げられる、10人の殺し屋たちのバトル。IMAXの巨大スクリーンで体験すれば、一緒に列車に乗り合わせたような没入感を味わえること間違いなしだ。本稿では、そんな本作を鑑賞する際に見逃せないポイントをたっぷりと紹介しよう。
“伊坂ワールド”がハリウッドと融合!細部までこだわり抜かれた世界観に注目
世界一運の悪い殺し屋のレディバグ(ブラッド・ピット)。久しぶりに仕事復帰を果たした彼が請けた指令は、超高速列車でブリーフケースを盗みだし、次の駅で降りるという簡単なミッションだった。お目当てのブリーフケースを見つけて降車しようとした矢先、目の前に現れたのは、なんと“同業者”の殺し屋。さらに同じ列車には複数の殺し屋たちが乗り合わせており、身に覚えもないまま次々と狙われてしまう。やがて見えてくる、殺し屋たちをつなぐ過去と因縁。そして終着駅の京都で、さらなる衝撃の真実が彼を待ち受ける。
『CHiLDREN チルドレン』(06)を皮切りに、『アヒルと鴨のコインロッカー』(07)や『ゴールデンスランバー』(09)など、国内外で数多くの作品が映画化されてきた人気作家の伊坂幸太郎。彼の作品群の魅力はパズルのように巧妙に掛け合わされた物語と秀逸な伏線回収、そして登場人物一人一人のキャラクターが立っていること。そんな“伊坂ワールド”を、原作通り日本を舞台にハリウッド映画化した本作は、日米の異なる文化のエッセンスが見事に融合した唯一無二の作品に仕上がっている。
冒頭から目を見張るのは、ピット演じるレディバグが電話で話しながら歩く東京の街並み。実はこのシーンは、ハリウッドのダウンタウンにある脇道で撮影されたもの。そうは思えないほど細部にまで作り込まれた風景は、これまで様々なハリウッド映画に見られた、不可思議にズレた“日本”とは一味も二味も違う、確固として作り上げられた世界観を感じさせる。製作陣は日本の文化に敬意を払い、幅広いリサーチを行なって劇中の“日本”を作り上げたのだという。
それは駅のシーンや本作のもう一つの主人公といえる超高速列車、そして車窓から見える風景に至るまで抜かりない。セットデコレーターを務めたのは、『この茫漠たる荒野で』(20)でアカデミー賞美術賞にノミネートされたエリザベス・キーナン。劇中に登場するすべての要素が現実味を帯びるようにとカルチャーアドバイザーと緊密に協力を図り、駅の雰囲気から看板、日本のお菓子や新聞、雑誌、コインロッカーや自動販売機…と、日本の駅ではおなじみのアイテムを緻密に再現。現実に即した愛ある作り込みは、実在する駅でロケ撮影されたのかと思ってしまうほど精巧。壁いっぱいに広がるIMAXの巨大スクリーンで、遊び心がたっぷりと詰まったディテールに注目してほしい。
また、超高速列車が駆け抜ける絶景の数々も見逃せない。近未来的な関東の街並みから、息を呑むほどの美しい富士山、京都の伝統的な風景など、臨場感たっぷりに登場する日本のシンボルたちを観ていると、映画館にいながら旅をしている気分も楽しめるはずだ。