【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第7回 結論や正解がない恋愛とはなんなのか
自分の新しい窓を開けようとまた誰かを好きになってしまうのかもしれない
「"ジョハリの窓"って知ってる?」とスナックのオヤジが酒臭い息を吐きながら問いかけてきたことがある。そのオヤジが言うには、人には4つの窓があるという。「開かれた窓」は自分も他人も知っている自分のこと。「秘密の窓」は自分だけが知っていて、他人には知られたくない自分のこと。「盲点の窓」は他人は知っているが、自分では気づいていない自分のこと。「未知の窓」は自分も他人も知らない自分のこと。へえ、4つも窓があったのか。そう言われたらそんな気がした。
恋愛する度に開くのはどの窓か。他人と濃い時間を過ごし、強く愛されたいと思う時、自分はこんなに酷かったのかと思うことがある。あいつ自分では気づいてないけれど、最低なこと私にしているよと思うこともある。どの窓が開いたら幸せな恋愛なのか、それは誰にも決められない。つらい恋の終わりがあっても、新しい窓を開けようとまた誰かを好きになってしまうのかもしれない。
自分が嫌いでたまらなくなった日も、泣くのは明日だと我慢した夜も、別れ話をした後の彼の枕にできた涙のシミも。彼のために作ったアルバムも、好物だった生姜焼きを作れるようになったことも、全部全部全て愛おしい私の思い出だ。数年後か、数十年後に何か物を見たり、聞いたり、どこかへ行ったりした時、「そういえばあんな自分がいたな、あの人のこと大好きだったな、最低な奴だったな」そう思えればいい。
そういえば、aiko大先生の恋愛ソングでどれが好きかでどういう恋愛をしてきたかが分かると、これまたスナックのオヤジが言っていた。私が「明日の歌」が好きだと言うと、「独占欲強めだね」とただ一言鼻で笑いながら言われたのを強く覚えている。あのオヤジ、絶対に許さない。
秋になり、やがて冬になる。気温が下がってくるとだんだん人は人肌恋しくなる、らしい。いっときのその寂しさを、適当な誰かで埋めるもよし、1人でいるのもよし、勢いに任せて想いを伝えるのもよし。毎年恒例の冬の寂しさに耐えるため、私の酒量は増えていくのであった。もちろん、つまみは恋バナである。
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
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