『母性』廣木隆一監督、バンクーバー国際映画祭の1日に密着!超多忙スケジュールと映画の街・バンクーバーの魅力に迫る
バンクーバー国際映画祭は「チャレンジングな作品も受け入れてくれる映画祭。僕自身、刺激になります」
18時からいよいよ上映前の舞台挨拶がスタート。会場となった650人収容のバンクーバー・プレイハウスは、老若男女が駆けつけて満席状態。『母性』の初お披露目を待ちわびていた観客からの万雷の拍手に迎えられ、廣木監督は「サンキュー。こんばんは。上映後もQ&Aセッションがあるのでたくさん質問してください」と挨拶。湊、そして観客と一緒に映画を鑑賞した廣木監督だが、エンドロールが流れると同時に拍手が起きるとうれしそうな笑顔を見せ、ステージでのQ&Aセッションに臨んだ。
Q&Aセッションでは、「海外の観客のことも念頭に置いて映画を作るのか?」といった質問に対して、湊と廣木監督が「人間の内面をきちんと描いていれば、どこの人にも通じるものになる」と意気投合。廣木監督は「“母性”というものが自分に描けるのかわからなかったけれど、親と子の愛情については自分のなかで思っていることもある。勉強ができると思って、なんでも挑戦しています」と語るひと幕もあり、そのチャレンジ精神あふれる姿に大きな拍手が上がっていた。
Q&Aセッションが終わりロビーに出ると、たくさんのファンが廣木監督と湊を待ち受けていた。写真撮影を求める人々が並び、廣木監督は列が途切れるまでファンサービスに専念。過去にも同映画祭にたびたび招待され、第37回の『ここは退屈迎えに来て』(18)以来4年ぶりの参加となった廣木監督だが、「バンクーバーの観客は温かい」とにっこり。
同映画祭のプログラミングチームは「これまでの廣木監督の多くの作品と同様に、女性の心理とその複雑な感情の網目を、思いやりと細やかな感性で探っている」と本作を評価していたが、廣木監督は「バンクーバー映画祭には1995年の『魔王街 サディスティック・シティ』でも参加していますが、そういった尖った映画も呼んでくれる映画祭なんです」とコメント。「尖った映画は企画としてなかなか通りづらい風潮もあるけれど、チャレンジングな作品も受け入れてくれる映画祭があって、それを観たがってくれている人がいるということは、とても励みになります。映画好きの若い世代の観客も多いんですよね」と自身にとっても大切な映画祭だという。「今日は、映画学校に通っているという学生から『刺激になりました』という感想をもらいました。そう言ってもらえると、僕自身も刺激になります」と充実の時間を過ごした。11月23日に控えた本作の公開に向けて、すばらしい弾みをつけたバンクーバー訪問となった。