観客の“選択”で主人公の人生が変化!『僕愛』『君愛』がもたらす、新たな映画体験とは?

コラム

観客の“選択”で主人公の人生が変化!『僕愛』『君愛』がもたらす、新たな映画体験とは?

アニメーション映画『僕が愛したすべての君へ』(以下『僕愛』)と『君を愛したひとりの僕へ』(以下『君愛』)が、3月24日(金)にBlu-ray&DVDでリリースされる(デジタル配信中)。

続編でもなければ、どちらかがどちらかのスピンオフというわけでもない。それぞれ独立した作品でありながら、互いの世界が絡み合って交差し、2本続けて観ることによって物語のさらに奥深くへと導かれる。そんな斬新な体験を味わうことができる本作の見どころを、自宅で気軽に観られるようになったいま、あらためて紐解いていこう。

同じ主人公の異なる人生を、宮沢氷魚らが丁寧に表現

『僕愛』『君愛』のBlu-rayセットBOXが3月24日(金)発売!
『僕愛』『君愛』のBlu-rayセットBOXが3月24日(金)発売![c]2022 「僕愛」「君愛」製作委員会

2016年に刊行された乙野四方字の同名小説を原作にしたこの2作品の舞台は、“並行世界”の存在が実証され、行来することも可能になった世界。それぞれ異なる世界を生きる暦という名の一人の少年が、それぞれの世界で出会う別々の少女と恋に落ちる姿が描かれるラブストーリーだ。どちらの作品においても、暦が7歳の時に両親が離婚する。父親か母親のどちらと一緒に暮らすか、この選択が2作品を隔てる最初の分岐点となっている。

『僕愛』で描かれるのは、母親と暮らすことを選んだ世界線。高校生になった高崎暦は、ある日、話したこともないクラスメイトの瀧川和音から突然親しげに声をかけられる。彼女に連れて行かれたカラオケボックスで暦は、目の前にいる和音が85番目の並行世界から移動してきた和音であることを聞かされる。そして和音は、自分の元いた世界では暦と和音が恋人同士であることを告げるのだ。


“並行世界”を行き来する少年が、別々の少女に恋をする二つのラブストーリー
“並行世界”を行き来する少年が、別々の少女に恋をする二つのラブストーリー[c]2022 「僕愛」「君愛」製作委員会

もう一方の『君愛』で描かれるのは、父親と一緒に暮らすことになった世界線。まだ幼い日高暦は、父の職場である虚質科学研究所で所長の娘である佐藤栞という少女と出会い仲良くなる。やがて成長していく2人は互いに恋心を抱くようになるのだが、お互いの親同士が再婚することになり、2人は兄妹にならない運命が約束された並行世界への駆け落ちを決意する。しかしたどり着いた世界で、栞は交通事故に遭ってしまう。

どちらの作品でも暦の声を担当しているのは宮沢氷魚。木村拓哉と綾瀬はるかと共演した『レジェンド&バタフライ』(公開中)、鈴木亮平と共演した『エゴイスト』(公開中)など話題作への出演が相次いでいる宮沢が、ふたつの異なる人生を送る主人公を巧みに演じ分ける。「別の道を選び、違う人生を送る2人の暦の演じ方、表現の仕方はすごく悩みました」と振り返る宮沢は、「演じ分けたというよりも、物語の流れに身を任せていけば自然に変化が出てくることに気付き、一つ一つのシーンを大事に丁寧に演じることを心掛けました」とコメント。その言葉通り、暦という主人公の青年期を自然体に表現している。

また、『僕愛』のヒロインである瀧川和音の声を担当したのは橋本愛。『君愛』のヒロインである佐藤栞の声を担当したのは蒔田彩珠。宮沢は「ちむどんどん」、橋本は「あまちゃん」、蒔田は「おかえりモネ」と、三者とも連続テレビ小説で主人公を支える重要な役どころを演じ抜いた実力派が結集。普段は実写作品を中心に活躍する彼らの表現力の豊かさを、アニメーションでの声の演技を通して改めて感じることができるだろう。

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