『クリード 過去の逆襲』は“IMAX推し”!スポーツ映画初のIMAX撮影で、リング内へ入りこむ没入体験
「ロッキー」サーガのDNAを継承!奥深い感動を呼ぶ、熱いドラマ
ロッキーとアドニスが二人三脚で苦難を乗り越えてきた前2作から一転、アドニスが自分自身を乗り越えようと苦闘する姿を描いた本作は、人間ドラマとしてもこれまでにない展開を見せる。
かつて共に生きた仲間でありながら、過去に縛られ、アドニスへの怒りで心が満たされたデイムとの愛憎が入り混じった闘いはもちろん、アドニスが過去を隠そうとしたことで、互いに支え合ってきた妻ビアンカ(テッサ・トンプソン)との間にすれ違いが生じ、少年時代にデイムとの仲を裂こうとした母メアリー・アン・クリード(フィリシア・ラシャド)との関係にも亀裂が入ってしまうのだ。
そんななか、『クリード チャンプを継ぐ男』の元王者リッキー・コンラン(アンソニー・ベリュー)、『クリード 炎の宿敵』(18)のヴィクター・ドラゴ(フロリアン・ムンテアヌ)など、かつて死闘を繰り広げた好敵手たちが意外な形で登場するシーンには、胸が熱くなること間違いない。
心をかき乱される展開が連続する本作には、集中して鑑賞できる環境こそふさわしい。ジョーダンのふとした表情の変化や息づかいまで伝えてくれるIMAXならば、人間ドラマがもたらす奥深い感動を、より深く味わえることだろう。
選ばれし者のサクセスストーリーではなく、誰もが少なからず抱える過去への後悔と向き合い、それを乗り越えるためにもがく普遍的な姿を描いた本作は、これまでのシリーズファンを超えた、より多くの人々の胸に刺さるメッセージを持っている。先に公開された北米マーケットで、47年間続いてきた「ロッキー」サーガ史上最大のヒットを記録したことが、そのなによりの証明だろう。空前のファイトシーン、そして共感を呼ぶ熱きドラマを、IMAXの環境で存分に味わってほしい。
文/神武団四郎
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