新進気鋭の初監督作から受賞監督の凱旋上映まで!第20回「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023」国内コンペ出品の14本をチェック
個性が際立つ野心作ばかり!国内コンペティション部門の短編8本
国内コンペティション部門の短編は205本もの応募があったなかから、個性が際立つ8本が選ばれた。SFからコメディ、ファンタジーからアニメーションまで、バラエティ豊かな作品が出揃ったので、ぜひハシゴをして鑑賞していただきたい。
身体接触が禁忌の近未来でAIと人の心の関わりを描く『恵子さんと私』
感染症の蔓延を機に、ヒト型AIの利用が一般化した日本。小山家の娘、愛理の教育と家事を長年担ってきたAI「野上恵子」だが、作業ミスが増えたことで、母親の理子は新型へ交換しようとするが、愛理は反発する。本作が初監督作となった山本裕里子は、ニューシネマワークショップで学び、日中韓合作映画『湖底の空』(19)脚本協力にも参加した逸材。
冴えない男が想定外の出来事に空回りしていくコメディ『野ざらされる人生へ』
SNSで他人を中傷して憂さ晴らしをするだけが日課のたけし。ある朝目覚めると、見たこともないまったく別人の姿になっていた!予想外に繰り広げられる不条理な出来事が笑いを誘う本作をiPhoneで撮影した永里健太朗監督。俳優のほか、舞台の脚本、演出や映像制作と幅広く活動している永里監督は、本作にもバーテンダー役でも出演している。
青春のまぶしさを描くCGアニメ映画『A nu / ア・ニュ ありのままに』
千晴の彼女、祐加は、春から関東の大学へ進学することになった。引っ越しの前日、別れの挨拶に向かう道中、千晴は波乱に満ちた2年前のホワイトデーの1日を思い出す。古賀啓靖監督は、立命館大学映像学部在学中に卒業制作と並行して2年もの歳月をかけ、ほぼ1人で初めてのアニメーション作品となる本作を完成させた。
金さえあれば、すべてが手に入る?社会派ドラマ『ミミック』
家も仕事も金も失ったホームレスの男が、ある日宝くじを当てて大金を手に入れる。男は人生を立て直そうと奔走し、支援を受けてアパートに住むが、なぜか心が満たされない。主演は『忍びの国』(17)や『決算!忠臣蔵』(19)など中村義洋監督作品に多く出演する沖田裕樹。監督、脚本、撮影、編集を手掛けた高濱章裕は本作で初監督を果たした。
行方不明の息子を探す母親の切ない物語『さまよえ記憶』
行方不明の息子を探し続ける詩織は「知りたい情報」と「それに見合った価値のある記憶」を交換できる力を持つ“情報質屋”と出会う。詩織は葛藤の末、自身の大切な記憶を預けてしまう。主演は舞台やドラマで活躍する永夏子で、詩織を思う父親役にモロ師岡。日本大学芸術学部放送学科卒業後、数多くのドラマを手掛けてきた野口雄大の初監督作となる。
家父長制の有害さをユーモラスかつスリリングに切り込んだ『猟果』
亭主関白な夫である直太朗は、妻の優子を連れて狩猟に出かける。娘が同性愛者だと知り、受け入れられない苛立ちを優子にぶつける直太朗だが、彼の猟銃が優子の手に渡ってしまう。「男らしさとは何か」というテーマを、ミニマルな会話劇で描く本作。大阪芸術大学出身の池本陽海監督は、卒業制作作品がすでに高い評価を受けている注目株。
幻想怪奇の奈落に誘うダーク・ファンタジー『寓』
昭和初期、フランス留学から帰国した菊生のもとに、死んだはずの姉、つる葉から手紙が届く。菊生が人里離れたつる葉の家へたどり着くと、そこにはつる葉の娘、雛乃とそっくりな人形と暮らす姉の姿があった。本作は第55回シッチェス・カタロニア国際映画祭のNoves Visions部門でワールド・プレミア上映され、最優秀短編作品賞を受賞した。
急逝した父の記憶に潜入する家族のロードムービー『勝手に死ぬな』
死んだ人間の記憶の断片を、特殊な装置を使って覗き見ることができる世界。ある海辺の町で、父が交通事故に遭い急逝するが、その真相を確かめるべく、家族が亡き父の記憶に潜入する。カリフォルニア芸術大学映画学部で学んだ天野大地監督は、『私の神は死なない』(19)や『見知らぬ人の痛み』(21)などの過去作が国内外の賞を多数受賞している実力派だ。
まさに新しい才能の宝庫である「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023」。上映チケットは日時および座席指定券となり、1回の上映につき、1枚のチケットが必要となるが、コンペ作品のフリーパスも現在発売中。また、オンライン配信は単品レンタルと見放題プランを選べられる。詳しいチケット情報、各上映のスケジュール詳細は公式ホームページでチェックしてほしい。
文/山崎伸子
現場からお届け!もっと楽しむ「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023」特集【PR】
■SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023
日程:【スクリーン上映】7月15日(土)~7月23日(日)、【オンライン配信】7月22日(土)~7月26日(水)
会場:SKIPシティ 彩の国 ビジュアルプラザ 映像ホールほか
内容:国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門) ほか
URL:https://www.skipcity-dcf.jp/