「X-MEN」やアカデミー賞受賞作などにも出演!カメレオン俳優、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズが鬼才たちに愛される理由
“犬使い”の男の複雑な人間性を完璧に体現
さて、注目の新作『DOGMAN ドッグマン』。主人公のダグラス(ジョーンズ)は、幼い頃に父親から手ひどい虐待を受け、犬小屋に放り込まれた挙句、脚が不自由になり車椅子生活を強いられる身となった孤独な男だ。犬と深いレベルで交流する術を身につけた彼は、野犬の保護センターで働きながら、週に一度ドラァグクイーンとしてショーパブのステージに立ちつつ、困っている人のために自身の特殊なスキルを発揮。運命に翻弄されつつ、クライマックスでは犯罪組織と一大バトルを演じることになる。
ドラァグクイーンのメイクをしているせいもあるが、筆者は恥ずかしながら、ダグラスを演じているのがジョーンズであると認識するまでに時間がかかってしまった。この映画内だけでも、彼は多彩な表情を見せる。脚が不自由であるがゆえに他者から同情以外の感情を向けられない孤独。シェイクスピアをソラで暗唱し、会話の相手には当意即妙に切り返す知性。信仰やそれに対する疑問、性別に囚われない自由、そして社会に対する怒り。ジョーンズの演技からにじみ出るそれらの内面は、“犬使い”となった男の複雑な人間性を強く印象付けるに違いない。
次回作でもリュック・ベッソンとのタッグが決定
再びベッソン監督と組んで有名なドラキュラの物語を作るというジョーンズが、今後も目の離せない存在となるのは間違いない。なお、彼は10代の頃からミュージシャンとしても活動しており、ギターやドラムなどの楽器をこなし、これまでに3枚のアルバムを発表。2024年には新作をリリースする予定なので、興味のある方はチェックしてみてほしい。
文/有馬楽
作品情報へ