藤井道人監督の作家性、恋愛映画の醍醐味、シュー・グァンハンの“素顔”…『青春18×2 君へと続く道』の魅力を徹底解説!
甘酸っぱい初恋という言葉だけでは言い表せない…若者も大人も楽しめる恋愛物語(イラストレーター・チヤキ)
“青春”とタイトルにあったので甘い10代のためのラブストーリーかと思っていましたが、これは青春を経験してその後、仕事、社会人の恋愛と経験した30代のためのラブストーリーでもあると思いました。
アミとジミーだけでなく劇中の様々な出会いがすごく印象的で、台湾が舞台ということもあり全体的に暖かそうな夏休みのような雰囲気をずっと感じながら観ていました。イラストをオレンジメインに描いたのはその辺のイメージからかもしれません。夜市やスクーター2人乗りという台湾を存分に感じられるシーンもあり、本当にアミのように旅行に行きたくなります。対照的に日本パートのシーンは雪景色なのですがここでも出会う人々はここでも温かい。
映画のなかで現在のジミーは18年前のひと夏の記憶をたどっているのですが、18年も経っているのに思い出のなかの恋ではなく現在進行形で気持ちが続いているというのが伝わってきて、心がきゅっとします。両想いだったわけでもなくどちらかというと脈はなかったような(少なくとも私はそう感じた)相手に。これが尊いということなのでしょうか、そこまで思える相手に出会うということはそうそうないと思うので。
甘酸っぱい初恋という言葉だけでは言い表せないので、ぜひ映画を観て感じ取ってほしいです。ちなみに、36歳という数字だけ聞くともうすっかり大人に感じますがアミの故郷へ行く目的の中で、好きな漫画「スラムダンク」の聖地にも行ってる感じがいまのリアルな若さを残した30代という感じがして私の好きなシーンです。
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