【ネタバレあり】本編鑑賞後の人だけ読んで!小ネタ満載『デッドプール&ウルヴァリン』詳細解説レビュー
マニアック&細かすぎる小ネタ満載!瞬き禁止の本編を解説
そして、肝心の内容も20世紀FOXに対するリスペクトも交えた、ある意味情報過多とも言えるマニアックなネタのオンパレードの作品に仕上がっている。
物語は、ウルヴァリンの墓を暴くデッドプール=ウェイド・ウィルソンの姿からスタート。そしてなぜそんなことになっているのか…という説明で、時を少しさかのぼる。そこで描かれるのは、MCUと合流したからということで、いきなりアベンジャーズへの加入を申し出て、面接を受けるデッドプール。面接をするのは、MCUでは常連キャラの筆頭とも言える、ジョン・ファブローが演じるハッピー・ホーガン。アベンジャーズの活躍にまつわる品々に囲まれた部屋での面接は、完全なる空振りに終わる…が、MCUと合流したという雰囲気はほぼここまで。その後は、時空を越えるカオスな本編になだれ込んでいく。
ウェイドは、自分の住む世界=アース10005でデッドプールとしての活動をやめ、成績の振るわない中古自動車販売員として物足りない日々を過ごしつつ、それでも自分を愛してくれる仲間たちに囲まれて暮らしていた。そんな彼の前にディズニープラスのドラマシリーズ「ロキ」に登場した神聖時間軸を守るための組織「TVA」の特殊部隊が出現し、TVAのアース10005支部へと連行される。そこでウェイドは、自分が住む時間軸が”アンカー”と呼ばれる超重要な存在の死によって消失の危機を迎えていることを知る。そのアンカーとは、『LOGAN/ローガン』で死んだウルヴァリンだった。『LOGAN/ローガン』と本作は同じ時間軸の存在であり、ウェイドはウルヴァリンの生死を確認するために、彼の墓を暴くがその死が間違いではないことがわかるだけだった、というのが冒頭のシーン。その後、デッドプールは、TVAが使う時空を越えるデバイスを使って、マルチバースを移動し、別世界のウルヴァリンに助けを求めようとする。
マルチバースの様々なウルヴァリンたち!そのなかに…
この様々なマルチバースで出会うウルヴァリンとのシークエンスで、マニアックネタが炸裂。原作コミックスの設定と同じ身長160cmのウルヴァリンに始まり、犯罪都市マドリプールで行動する際のアイパッチ姿、コミックス初期に着ていたブラウンスーツ姿、アポカリプスに統治された世界を描く「エイジ・オブ・アポカリプス」の姿、年老いたローガンが活躍する「ウルヴァリン:オールドマン・ローガン」の姿、コミックブックの表紙にだけ登場した赤い髑髏に囲まれた場所での磔にされ拷問される姿など、原作コミックスに登場した様々なパターンのウルヴァリンが登場。それらのローガンはジャックマンが演じていたが、1人だけ、別の人物が混ざっていた。
それは、『マン・オブ・スティール』(13)や『ジャスティス・リーグ』(17)などのDCエクステンデット・ユニバースでスーパーマン役を演じたヘンリー・カヴィル。一部で噂が出ていた「スーパーマンを引退したヘンリー・カヴィルが次のウルヴァリンを演じるのではないか?」というネタを拾ったもの。そんな、知っている人は歓喜、知らない人は唖然という、ネタの奔流をいきなり披露してくるのだ。
最終的に、デッドプールは本作でチームを組む、過去に仲間を失い心に闇を抱えたウルヴァリンと出会い、共にTVAに戻るが、アース10005の滅亡を早めよう考えるTVA支部の長官パラドックス(マシュー・マクファディン)と意見が対立。2人は、アース10005から不要な存在として剪定された結果、“虚無”へと送られてしまう。虚無とは、神聖時間軸を守るために剪定された者たちが放り出される場であり、“忘れられた者たち”が行き着く終着点ともいえるところだ。そこには、巨大な20世紀FOXのロゴも廃棄されており、20世紀FOXも現実の世界から剪定された存在となっていることがメタ的に表現される。