2025年でメジャーデビュー10周年!Mrs. GREEN APPLEの軌跡を“映画”と共に振り返る
映画を観る人の心に響く!“物語性”が伝わる主題歌たち
まず話題を集めたのは『サイレントラブ』の主題歌「ナハトムジーク」だ。声を捨てた青年と、不慮の事故で光を失ったピアニスト志望の音大生が、静かに愛を紡いでいくラブストーリーである『サイレントラブ』。「ナハトムジーク」は、主人公2人がお互いを確かめ合いながら会話をなしていくような構成と、楽曲後半の大森によるエモーショナルなボーカルが秀逸。不器用な2人の恋模様を壮大に歌い上げて感動を呼んだ。
また、世界で17万人の命を救った医療技術の誕生にまつわる実話を映画化した『ディア・ファミリー』の主題歌「Dear」では、オーケストレーションされた壮大なサウンドと重厚なコーラスで聴く者の胸を揺さぶった。主人公に寄り添いながら、険しい苦難を乗り越えた先に、希望を指し示してくれるような楽曲だ。
そして、『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~』の主題歌「ビターバカンス」も好評。20世紀末に起きたアルマゲドンを回避したブッダとイエスが、日本でバカンスを満喫する異色のコメディ。その主題歌である「ビターバカンス」は、仕事や恋にタフな毎日を送る現代人に向けたメッセージ性あふれる楽曲。メンバーがユーモアたっぷりに歌って踊って演技をする、ミュージックビデオも話題を集めている。
情景が浮かび、登場人物に寄り添った歌詞が聴く者に訴えかけてくるMrs. GREEN APPLEの音楽は、物語との親和性が高く、映画やドラマなど映像作品と合わさることでより輝きを放つ。9月に公開された『Mrs. GREEN APPLE // The White Lounge ㏌ CINEMA』は、ミュージカル手法を取り入れた物語形式のライブを映像化したもので、ボーカルの大森らがストーリーを演じながら楽曲を披露しており、Mrs. GREEN APPLEがいかに“物語性”を重要視しているかがわかるだろう。
2025年は、デビュー10周年を記念したベストアルバム「10」のリリースをはじめ、2日間で10万人を動員するバンド史上最大規模のライブの開催、さらに初のドキュメンタリー映画の製作などが発表されている。これから彼らがどんな映画と出会い、どんな楽曲を生みだすのか、今後の“Mrs. GREEN APPLE meets 物語”に期待したい。
文/榑林史章