実は絶妙に変化していた…!?出演映画のルックスでたどるジェイソン・ステイサム
ロン毛に長髭でまるで別人な『リボルバー』(05)
罠にかけられ投獄された男の復讐を描いたガイ・リッチーのクライムスリラー。凄腕ギャンブラーのジェイクは刑務所の両隣にいた詐欺の達人とチェスの天才から学んだ教えを生かし、出所後に自分をはめたカジノ王を陥れようとする。次々に想定外な事態が巻き起こる、先読み不可、謎が謎を呼ぶミステリアスな物語だ。復讐ものといってもジェイクは心理戦を仕掛ける頭脳担当のため、銃撃戦などアクションはほかのキャラたちが賄った。達観したジェイクを演じたステイサムは、ロン毛に長髭という仙人風の不思議なヘアメイクで登場。アップはともかく引き画では意外に様になっていた。
濃いめの髭が存在感を主張している『PARKER パーカー』(13)
ドナルド・E・ウェストレイクの人気シリーズを映画化。孤高の犯罪者パーカーは初めて組んだ4人組との強盗に成功するが、裏切られ重傷を負わされる。怒りに燃えるパーカーは、病院を抜けだし報復を開始する。これまでリー・マーヴィンやメル・ギブソンら硬派なスターが演じてきた悪党パーカーを、ステイサムがオレ流で熱演。バイオレンスなアクションをたっぷりと見せつける。冒頭のカトリック司祭は白髪のウィッグで、後半にはカウボーイハットの成金と、変装姿もお楽しみ。2000年代後半よりステイサムは髪の薄さと対照的に髭は濃いめの傾向で、本作も髭が存在感を主張している。
落ち武者風のロン毛姿も披露する『ハミングバード』(13)
元軍人の復讐を描く社会派サスペンス。アフガニスタンの戦場で心を病みロンドンでホームレスをしていた元特殊部隊のジョゼフは、心を通わせていた少女の行方を追って裏社会に潜入する。ステイサム十八番の復讐ものでバイオレンス要素も強めだが、爽快系アクションではなくテイストはヘビー&ダーク。監督を『イースタン・プロミス』(07)や『蜘蛛の巣を払う女』(18)の脚本家スティーヴン・ナイトが務めている。ホームレスからコック、タキシードなど多彩なファッションを披露するが、冒頭では落ち武者風のロン毛でステイサムとは思えない落ちぶれぶりを見せている。
ほぼスキンヘッド&さらに濃いめの無精髭で迫力アップな『ビーキーパー』(公開中)
復讐のため巨大権力に挑む男を描いた最新作。養蜂家として静かに暮らすクレイは、かつて社会の均衡を保つため暗躍していた“ビーキーパー”と呼ばれるすご腕の工作員だった。フィッシング詐欺に遭い自ら命を絶った恩人の復讐を果たすため、クレイは詐欺組織に宣戦布告。捜査を始めたFBIやCIAらとも壮絶な死闘を繰り広げる。本作では、たった一人で並み居る敵をなぎ倒す復讐の鬼を熱演。組織を潰すため、涼しい顔でビル一つぶっ壊す暴走ぶりは圧巻だ。「MEG ザ・モンスター」シリーズや『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(23)など近年は5厘刈りレベルで刈り込んでいるステイサムだが、本作ではほぼスキンヘッド&濃いめの無精髭で迫力アップ。チェックのシャツにキャップという普段着姿と、情け無用の戦いぶりとのギャップも本作ならではだ。
1998年に俳優デビューしてから四半世紀を超えるキャリアを通し、肉体派スターとして第一線を駆け抜けてきたジェイソン・ステイサム。ルックスを含めどこまで進化を続けるか、これからも楽しみにしていきたい。
文/神武団四郎