終末世界を生き延びろ!「ポストアポカリプス」を描いた映画10選
『10 クローバーフィールド・レーン』(16)
J・J・エイブラムス監督が製作を務めた異色のSFスリラー。巨大怪獣が大都市を襲撃するさまをドキュメンタリータッチに描いた『クローバーフィールド HAKAISHA』(08)と題名が共通しているが、直接のつながりはない。ある日、婚約者と喧嘩し家を飛び出た女性が、車を運転中に交通事故に遭う。目を覚ますと謎の地下室に監禁されていて、「外は何者かの攻撃で汚染されてしまったから、このシェルターに連れてきた」と見知らぬ男に告げられる。男の言動に不信感を抱いた女性は、なんとか外に脱出しようとするが…。外は本当に汚染されているのか?男は敵なのか、味方なのか?と、謎が謎を呼ぶ展開で飽きさせない。ネタバレになるため後半のストーリーは伏せるが、ポストアポカリプスな世界ではこのような状況になることもありえるのかも?
『スノーピアサー』(13)
『パラサイト 半地下の家族』(19)のポン・ジュノが初の英語作品として監督した一本。原作はフランスのグラフィックノベルで、地球温暖化を抑えるため撒かれた人工冷却物質が元凶となり、氷河期を迎え、地表が雪と氷で覆われてしまった2031年の地球が舞台となっている。わずかに生き残った人類は、永久機関で動く一台の列車に乗って生活しているものの、前方車両で生活する富裕層が富を独占し、後方車両に貧困層が追いやられているのは、まさに格差社会の縮図。ポン・ジュノ監督が製作総指揮を務めるドラマシリーズもNetflixで配信されている。
『トゥモロー・ワールド』(06)
P・D・ジェイムズのディストピア小説を、『ROMA/ローマ』(18)や『ゼロ・グラビティ』(13)のアルフォンソ・キュアロン監督が映画化した傑作SF。人類から生殖能力が失われ、“子どもが産まれなくなった”2027年の近未来が舞台。不法移民の流入により治安が悪化し、テロが日常の一部と化した英国の様子が映し出される。SFとはいえ突飛な描写はなく、ある程度の社会生活が営まれてはいるが、死に絶えるしかない運命を前に希望が失われ、無気力になってしまった人々の姿がリアル。文明が完全に崩壊した作品よりも終末感を覚えてしまう。映画のどんよりとした暗く重い雰囲気にやられ、切実に「こんな未来が到来するかもしれない」と震撼してしまうほどだ。
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)
ジョージ・ミラー監督による「マッドマックス」シリーズは、『マッドマックス2』からポストアポカリプスな世界観となり、「北斗の拳」など多くの作品に影響を与えたことで知られている。27年ぶりにシリーズ最新作として撮られた本作は、よりビジュアルとアクションに磨きがかかった。ベースとなっているのは、大国の戦争により文明が崩壊し砂漠化した世界。石油が枯渇し、略奪が横行。環境汚染により病を患った人々も多く、人類の行き着く可能性の“究極”が描かれている。どこまで行っても希望などないと思わされてしまうような、乾いた荒野のビジュアルは圧倒的。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』(20)
数々のポストアポカリプス映画を紹介してきたが、2021年1月1日(祝)より公開される新作『新感染半島 ファイナル・ステージ』もその系譜に名を連ねる一本だ。前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』(16)では未知のウイルスがパンデミックを起こした事態の初期を描いていたが、本作の舞台はその4年後。封鎖され見捨てられた“半島”は荒廃しきっており、すっかりポストアポカリプスな世界になっている。そんな感染者が街中にあふれる危険地帯に、元軍人の主人公が潜入。「大金が積まれたトラックを回収する」という任務に挑む。過去のゾンビ映画や前述の『マッドマックス~』、そして「AKIRA」「ドラゴンヘッド」といった日本の漫画からも影響を受けて作り出されたビジュアルを、ぜひ劇場で見届けてほしい。
文/月刊シネコンウォーカー編集部