【今週の☆☆☆】これぞ、究極の怪獣映画!『ゴジラvsコング』、石井裕也監督がオール韓国ロケで撮り上げた『アジアの天使』など、週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今週は、破壊神“ゴジラ”vs守護神“コング”のバトルに興奮必至の超大作、韓国で出会った日本人家族と韓国人家族の交流を描くロードムービー、名優コリン・ファースとスタンリー・トゥッチ共演によるヒューマンドラマの、バラエティ豊かな3本!
誰もが見たかった!ゴジラとコングのガチンコ対決…『ゴジラvsコング』(公開中)
2014年にスタートした『GODZILLA ゴシラ』と2017年の『キングコング:髑髏島の巨神』のストーリーが、まさかこんな風にクロスオーバーするとは思わなかった! しかも、人間ドラマを最小限に留め、誰もが見たかったゴジラとコングのガチンコ対決でほぼ見せきっちゃうのだからスゴい。人間からの目線ではなく、怪獣同士の目線でバトルを描くあたりも意外とありそうでなかったし、コングの知られざる謎を解き明かすサプライズも用意。コングと手話で心を通わせる聾唖の少女ジアを演じた、実際に聾唖のケイリー・ホトル(13歳)の表情の芝居にも魅せられ、人間の思い上がりや愚行に警鐘を鳴らす、1954年の『ゴジラ』第1作から脈々と受け継がれてきた深いテーマが胸にグサッと突き刺さる。いや、これぞ、究極の怪獣映画だ。思いっきり興奮したいなら、IMAXで観ることをオススメ!スケール感や迫力がまったく違うから。(ライター・イソガイマサト)
「必要なものは、ビールと愛」石井裕也監督の想いが詰まったロードムービー…『アジアの天使』(公開中)
コロナ禍だからこそ生まれた『茜色に焼かれる』に続き、日本人と韓国人の家族の交流を描いたロードムービー『アジアの天使』は日韓関係が最悪の現在、伝えたい石井裕也監督の思いが詰まっている。調子のいい兄の言葉に唆され、息子と共に言葉のわからぬ韓国にやってきた弟。兄はいい加減ながらも弟のことを心配していた。一方、元アイドルのソルは両親を亡くし、家計を支えるため、嫌な仕事にも耐えてきた。兄はソルに申し訳なく、ソルの妹は自分を子ども扱いする姉が気に食わない。兄弟・姉妹間の軋轢や葛藤を抱え、互いに理解し合えそうな二つの家族。だが、そこに言葉の違い、日韓問題が入り混じるもどかしさ。近くて遠い関係。オダギリジョー演じる兄が言う。「必要なものは、ビールと愛」。そんな単純な、と思いつつ、日韓のスタッフ、キャストが食事を共にし、言葉の壁を越え、一つになって作りあげたこの作品が何よりの証拠だとつきつけられているよう。(ライター・髙山亜紀)
円熟の域に入ったオスカー俳優2人が放つ、切なくも美しい恋の火花…『スーパーノヴァ』(公開中)
20年もの間パートナーであるピアニストのサムと作家のタスカーが、ある日、キャンピングカーで旅に出る。本作は、親密な関係にある男性2人の道行きをしっとりと追った大人による大人のためのロードムービーだ。我々は、サムとタスカーによって繰り広げられるジョークまじりのハイセンスな会話を楽しみながら、2人の間にかすかに流れる緊張感の理由を探っていくことになる。お互いを人間的に尊敬&敬愛していることが伝わる2人の関係や、心配しながらも彼らを温かく見守る周囲の “エレガントな距離感”が心地いい。加えてサム役のコリン・ファースによる不器用で献身的な愛には心奪われるし、何より矜持と愛の狭間で揺れる“高尚な作家”を演じたスタンリー・トゥッチがこんなにもセクシーでチャーミングだったとは!星は最期に大爆発をしてまぶしく光輝く。円熟の域に入ったオスカー俳優2人が放つ、切なくも美しい恋の火花を堪能して欲しい!(映画ライター・足立美由紀)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!なお、緊急事態宣言下にある都道府県の劇場の一部では引き続き臨時休業を案内している。各劇場の状況を確認のうえ、足を運んでほしい。
構成/サンクレイオ翼