“『マトリックス』以降”と言われる影響力を考察。『リベリオン』『インセプション』へとつながる映画史に迫る
1999年に公開された『マトリックス』は、その先鋭的なビジュアルと奥深いストーリーで大ヒット。公開から20年の時を経て、いまだ多くのファンを生み続けている記念碑的SFアクション大作だ。この作品はその後のハリウッド映画にどのような影響を与えてきたのか?シリーズ第4弾となる『マトリックス レザレクションズ』が公開となったいま、改めて振り返ってみたい。
自由を求めて管理社会に立ち向かう!スタイリッシュなレジスタンスたち
『マトリックス』は、コンピュータに支配された世界を舞台に、自由を求めて抗う人間たちの物語。人類とマシンの対立はディストピア映画ではおなじみの図式だが、『マトリックス』は仮想現実という設定をプラスした。見えない巨大な力に挑む戦士たちの姿が共感を呼び、現実世界に疑問を抱くレジスタンスが次々にスクリーンに登場した。
新型ウイルスの感染拡大を生き延びたわずかな人々が暮らす管理社会に、シャーリーズ・セロン演じる女性戦士が立ち向かう『イーオン・フラックス』(05)は、大ヒットコミック&アニメーションの実写化だが、主人公イーオンが武術の達人だったり、トリニティ風のポーズを決めたりするなど『マトリックス』を彷彿させるビジュアルも印象的だった。ちなみに、製作をジェームズ・キャメロンの元妻で『ターミネーター』(84)の生みの親の一人、ゲイル・アン・ハードが務めている。
次は、ミラ・ジョヴォヴィッチが未来世界で大暴れする『ウルトラヴァイオレット』(06)。研究所から漏れ出た新種のウイルスで変種となった人々が、彼らを撲滅しようとする政府に抗う姿が描かれる。ダイナミックなバイクアクションは、こちらもトリニティのアクションをさらに過激にしたものに感じられる。主人公のかっこよさへのこだわりも『マトリックス』以降のSFアクションらしい。このほか、吸血鬼と狼族の争いを描いたケイト・ベッキンセール主演の「アンダーワールド」シリーズなど、トリニティのフォロワーは多い。
全体主義国家となった英国で孤高の戦士が暗躍する『Vフォー・ヴェンデッタ』(05)もまた、『マトリックス』を彷彿させるディストピア×アクションの一つ。シリーズを監督したウォシャウスキーの2人が製作&脚本を務め、エージェント・スミス役でブレイクしたヒューゴ・ウィーヴィングが、顔出しなしで仮面の主人公Vを好演している。時間軸を自由に伸縮するアクションや、銃ではなく短剣を使う戦法も話題を呼んだ。