才色兼備だけど、時におちゃめで時に熱い!『鹿の王』のもう1人の主人公、若き医師ホッサルが尊い…
2015年に本屋大賞と日本医療小説大賞をW受賞した上橋菜穂子によるファンタジー小説「鹿の王」が、長編アニメーション映画『鹿の王 ユナと約束の旅』として公開中だ。『もののけ姫』(97)や『千と千尋の神隠し』(01)、『君の名は。』(16)などの作品に携わってきた安藤雅司が初監督を務めるほか、堤真一に竹内涼真、杏ら豪華声優陣が集結した。
人類と謎の病との壮絶な闘いを描いた本作の主人公は、謎の病を解き明かすカギとなる屈強な戦士ヴァン。しかし、本作にはヴァンの裏で活躍するもう1人の主人公が存在する。謎の病の治療法を模索する若き医師のホッサルもまた、本作を語るうえでは欠かすことができない人物だ。本稿では、これから多くのファンを集めそうなホッサルの活躍にフォーカスし、その魅力を徹底解説!ホッサルとはどんな人物なのか?を説明すると共に、映画本編で描かれる、ホッサルの“尊さ”について余すことなく解き明かしていきたい。
謎の病と必死に向き合う若き天才医師、ホッサル
ホッサルは謎の病、黒狼熱(ミッツァル)が蔓延する東乎瑠(ツオル)帝国の医師。原作小説では、ミッツァルが蔓延して滅びたオタワル王国の出身者として描かれている。ホッサルの祖父リムエッルも有名な医師で、ツオル帝国でその名を轟かせていたそうだ。
その祖父の血と意志を引き継いでいるホッサルは、ツオル帝国の第二皇后を病から救ったことで“天才的な医師”として一目置かれる存在に。そんなホッサルはなんと26歳。若くして“命を救う”という高い志を持ち、必死にもがきながら病と向き合う姿は、本作における“もう1人の主人公”と呼ばれるにふさわしい。
容姿端麗で聡明なのに、“おちゃめで頼りない”一面が尊い!
ひと目見ただけでわかるとおり、ホッサルはなんといっても容姿端麗だ。なめらかな長髪を後ろで結び、気品あふれる所作も相まって神々しさすら感じさせる。その美しさと天才医師としての聡明さから、一見クールなイメージを抱くことだろう。しかし、見た目に惑わされるなかれ。劇中では、いかにも質実剛健な従者のマコウカンに対し、笑いながら茶化すシーンがあるほか、離れたところからホッサルの風聞をしている兵士たちに向かって、いたずらっぽくウインクをして彼らの頬を紅潮させるなど、様々なおちゃめな顔を覗かせては観ているこちら側の心をキュンキュンさせてくる。
また、医学の勉強ばかりしてきたせいか、力仕事は任せられないほどの非力さ。物語中盤でヴァンとサエと旅をする場面では、焚き木集めもまともにできなかったり、医学の知識があるがゆえに「野生動物は食べられない」と発言したりとアウトドアには向かない性格のよう。敵襲された際には、1人だけ乗っていた馬から転げ落ち、髪がほどけ泥だらけになるといったシーンも。余談だが、泥だらけになった体を清める入浴シーンは、劇中で最大のサービスシーンと言えるだろう。